大太刀の全身押形をとる

数年前、某御宮様御所蔵の大太刀の全身押形の制作を予定していましたが、私が肩を骨折してしまい制作出来ずにおりました。
肩の調子もすっかり良くなりましたので、押形を。(HPへの掲載のお許しを頂いております)

押形用紙を裁断。当初100メートルあったロールも大分細くなりました。この紙を次また入手出来るかどうかは不明。。

全長170㎝超。もしかしたら今までで一番長いのかもです。(未確認)
登録証によると銘文の文字数は61文字。
その銘の保存状態が非常に良いため銘の摺り出しに苦労しそうです。
(保存状態が良いとタガネ枕が立っており、銘の際に石華墨が当たらず、銘文を明瞭に摺り出す事が困難です。新々刀や現代刀の多くは銘の摺り出しに苦労します。)

大太刀全身押形 | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)




入鹿の事など

入鹿、天狗、南紀等を複数拝見。
初代の南紀は度々見るわけですが、後代を見る機会はそれ程多くなく。
過去に2代3代の南紀に出会った時はあれこれ考える事もなく流してしまったのですが、今回は少しゆっくり拝見。
結果、例えば入札鑑定にこれが出たならば、私は自信満々で肥前刀に入れてしまうと思います。それは直ぐ刃でも乱れ刃でも。
あしかし初代の南紀でも慣れなければ肥前に見えますよね。私は初代に関しては判る様になっているかもです。
2,3代は初代とは異なる雰囲気を持っていて、それが肥前刀寄りになるように感じられました。
(南紀後代と分かって見れば確かに肥前とは違う点は複数上げられます)

入鹿と天狗の槍です。念願の熊野山を冠する入鹿(と思われる作品)も。
この他にも入鹿作品を複数拝見。大好きな入鹿を多数拝見出来、眼福の極み。


相変わらずですが押形も描いており。。
最近では、鎌倉中後期在銘短刀、幕末短刀、大和在銘太刀、近江大掾乱れ刃、重文太刀、大和在銘短刀、孫六刀、延寿某寸延、真景短刀、南北備前寸延、末手掻短刀、備前鎌倉末期在銘短刀、大和在銘太刀、美濃在銘太刀、こんなところでしょうか。



支部会入札鑑定

1号 刀
長寸反り浅。小錵の丁子刃で房細く揃わず。焼き出し無し。表に龍、裏に間の広い護摩箸。
大きな刀。初見は全く分からず。何度か見るうちに「この苦手意識はいつものあれか?」と思えて来た。
彫は少し浅めだが鱗やクリクリの目はそれ風。
二代忠綱と入札。

2号 刀
幅広反り浅。重ね厚め。鎬地広い。
匂いの丁子と互の目。谷や焼頭全体が荒錵で覆われる。
よく見る肥前刀とはかなり違う造り込みだが、茎が細くならない場合この様な姿態を見るように思う。
また以前研磨させて頂いた初代献上銘にこの状態の刃があった。
近江大掾忠広と入札。

3号 刀
少し反る。少し鎬高。少し幅広で中鋒。中直刃で刃中葉が多い。匂い口締まり気味で沈む。
深く角ばる帽子。
一見して末備前。素直に入れてみる。
長船清光と入札。

4号 刀
太刀姿。鎬がかなり狭い。地鉄非常に詰む。匂い丁子。
太刀姿に丁子の房が開き気味な箇所が幾つかあるのでこれ。
横山祐包と入札。

5号 脇差
直刃ベースに互の目。元から20㎝弱より上が鎬を越える大焼き。
若干簾風の竹根刃はあるが幽か。
京初代丹波守吉道と入札。

当たりにて候
当たりにて候
当たりにて候
当たり同然にて候
当たりにて候

1号  刀 粟田口近江守忠綱(二代)
2号  刀 肥前国住近江大掾藤原忠広
3号  刀 備前国住長船清光作
      元亀三年二月吉日
4号  刀 備前長船住横山祐直作
      安政五年二月
5号 脇差 丹波守吉道(京初代)
      寛永十四年二月吉日

忠綱は雨龍みたいなあの刃文なら直ぐに分かるが丁子の場合がとにかく苦手で。
新刀が出て、何とも言えない苦しさを感じる時は忠綱なのかも。