研磨工程を ⑨

艶入れ作業は続き、某日上げ艶に。
荒砥で線や面を決め、以降細名倉までそれを維持しつつ、より正確に整えながら砥石目を完全除去(この”完全除去”が他の刃物類とは別次元で行なわれます)。
数日間内曇を効かせ、刀の中に有る物を全て出す。
そして最終的にどう見える様に仕上げるかは、地艶と拭いの作業で決まります。
長く続いた一連の作業の集大成です。
地艶は、同質の物でも「大きさ」と「厚さ」を変えれば刀身に与える影響は驚くほど変わり、地肌が全く別物に変化します。
この二つの要素に「質」を加えると、かなりのバリエーションが生まれます。
さらに、指を動かす速度、長さと強さでもかなりの違いがでます。
あと灰汁の濃度と。
基本的には柔らかい艶ほど肌が伏さりそして曇り、硬いほど晴れます。
大きいく厚い艶ほど大肌が強調され、薄いほどそれが和らぎます。
薄く細かいほど大肌が消えます。 しかし柔らかいと小肌も消えます。
組み合わせは無数に有ります。
これらをこの後の拭いの質に合わせて調整し、進めて行きます。
拭いも材質、粒度の違いによりかなりのパターンが有りますので拭いの力を考慮して艶を終了します。

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※艶入れ以降の画像はデジタル画像の性質上、刀身の実物よりも肌の出方が強く見えたり肉眼では全く確認出来ない色ムラが強調されたりと、画像としては課題の残る物です。  それらを解決するには部分画像を使用すれば済むのですが、工程の紹介と言う意味であえて刀身全体画像を使用致します。



研磨工程を ⑧

最近祝日とか休みが多くないですか?!  歳をとって来るとそう感じるんでしょうかね。
また休みかい!休みばっかりやなほんま(怒)!っと毎月毎月言ってる気がします・・。
研磨の工程は地艶に来ました。
某日、下地艶をかけます。

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※この艶入れ以降の画像はデジタル画像の性質上、刀身の実物よりも肌の出方が強く見えたり肉眼では全く確認出来ない色ムラが強調されたりと、画像としては課題の残る物です。  それらを解決するには部分画像を使用すれば済むのですが、工程の紹介と言う意味であえて刀身全体画像を使用致します。



研磨工程を ⑦

某日、地砥を引き終えようやく内曇工程が終了しました。
鋒をナルメ、下刃艶をかけます。
下刃艶は主に刃に対し効かせて行くのが通常の作業ですが今回は地砥を荒く引きましたし、この後使用する予定の下地艶の質も考慮し、地砥で作った硬い刃艶で刀身全体に艶入れをします。

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個人的にはこの状態や次ぎの下地艶、その次ぎの中地艶時の刀身が凄く好きです。
映りの有る物は全工程中一番際立って見えますし、鎬地に映る場合も磨き前ですから完全な状態で見る事が出来ます。
・・・しかしその状態は所詮研磨未完成状態。 人前に出る顔では無いのかも知れませんね・・・。 
何よりこの状態では大変錆びやすいです。 
後に行なう”拭い”工程は錆びに対する抑制効果は絶大です。



研磨工程を ⑥

引き続き内曇工程ですが、某日、数種の刃砥を経て地砥を引きます。
主に刃引きの時ですが、細名倉までは砥石目を揃えながら進みますので節が規則的に付きますが、内曇は細名倉の粒度より格段に細かいですのでよほど妙な引き方をしない限り下地を崩す心配は有りません。
ですので白熱灯でこまめに砥目を確認しながら効いていない部分を探しひたすら引きます。(それでも正しく引かなければ横手や鎬をけったり三つ頭を丸くする様な事になります)
100回引いては確認、200回引いては確認。 焼が高い刀や硬くて効き辛い物は500回単位で確認と言う感じです。
以前、一振りでいったい何万回ほど引くのかを知りたくて腕に万歩計を付けてみた事が有るのですが、微妙な力加減で引くので万歩計がうまく計測してくれませんでした(笑)

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地砥を引いているところです。 刃引き時よりも肌が見えて来ています。
慣れないうちはヒケに苦しむのが内曇なのですが、何年やってもヒケる時はヒケるんです・・。
刃砥のヒケはそのまま地砥に移れば取れる場合も多いのですが、地砥でくるヤツは手ごわいのが多いです。
引いていてヒケが来るといつも、その原因を石の所為にしたくなるのですが、多分殆どの場合原因は引き方や砥面にあるんだと思います。