平成23年2月 京都刀剣入札鑑定

 
 一号 刀
二尺三寸代か。 反り大変浅く物打辺りで特に減じる。 鋒が大きく残る。
湾れ調で足や葉が多数入りよく働く。 所々頭がクルリと丸い部分有り。
腰の方は小詰む焼き。
物打より上で大人しくなって行く。
研ぎのせいか全体に肌立つ。
分からないので後にする。
 二号 脇指
尺三寸ほど。
片切り刃(表。四分の一)。
重ね尋常。 三つ棟かなり高い。
表草倶利伽羅、裏護摩箸・梵字。
皆焼(ひたつら)。
地刃共大変健全で美しい。 差込。
 長谷部国信と入札。
 三号 太刀
二尺三寸ほどか。
細身、反り深(少し腰反り)。 重ねそれなりで先一寸五分で急に落ちる。
小鋒。
すっきりした樋を鎺貝先で角止。(桐紋透金無垢二重鎺)
地は大変柔らかく、詰みぎみ。
全体に映る。
直刃で柔らかい働きが多い。
ちょっと難しく後に。
 
 四号 刀
二尺一、二寸ほど。
室町期備前物。 鎺上丸止棒樋。
応永では無い。
中期か中後期か迷う。中期なら則光にして中後期なら法光にしようと自分の中で決める(細分はややこしいので)。
 法光と入札。
 五号 脇指
一尺四寸ほどか。
本造り。
中鋒延びる。
帽子が大変特徴的。
地は詰み気味で美しい。
所謂志津写し。
慶長新刀の先を切り取った様な姿ですが全体の雰囲気からウブの脇指と分かります。
良く詰んで美しい地鉄ですが、ほんの少しだけ白い粒が多い。
刃中の粒子の密度が大変濃く匂い口も含めかなり滑らか(例えばパティシエだと相当気合を入れてかき混ぜた状態)。
この造り込みは私はあまり知りませんが、この地と刃のバランスならば迷わず行けます。 
 國廣と入札。
 
 一号
分からず後で。
 三号
了戒を頑張って晴らすとこんな地鉄になるので、造り込みを考え、筑紫了戒と入札。
 一号
姿やその他の状態に惑わされていました。
落ち着いて見ると良い映りが薄っすら確認出来ます。 状態を変えれば鮮明になりそうです。
太刀です。
 長光と入札。
やっと提出。
 
 然
 当
 ヨク
 然
 当
 三号 筑紫了戒で国入能候と言う事ですので行平に。
 然
 当
 通り
 然
 当
 九州のこの辺り大変ややこしく記憶するには厄介なところです・・。 私も県名、藩政時代の国名、刀工の流派名が交錯してしまいます・・・。
筑前でよいとヒントを頂きました。
実阿にしては肌目が目立たないので西蓮と入札。
 然
 当
 当
 然
 当
一号 太刀  備前國長船住近景 (重要刀剣)
         嘉暦二年五月日
二号 脇指  長谷部国重
三号 太刀  安芸國入西 永仁伍年閏十月日 (国指定重要文化財)
四号 刀   備州長船則光
         嘉吉二年八月日
五号 脇指  國廣

画像

 



御刀多数拝見

この数日で5、60振り以上の御刀を拝見。
しっかりと勉強させて頂きたい刀も多数あるのですが、時間の都合上数秒しか見る事が出来ない物も多数有り残念です。
古山城、古大和、古備中、古備前などから無名の新々刀までさまざまでしたが、興味を惹かれたのが「無名大道」です。
拝見した瞬間初代伊賀守金道の美濃出来の枯れた雰囲気がよぎり、「初代伊賀金ですか?!」と言葉が出ましたが無名の大道と言う事でした。
伊賀金や越中、丹波などのお父さんが美濃の兼道(大兼道)で大道同人です。
何度か拝見した事がある初代伊賀守金道の美濃伝の大人しい手の作に比べると、さらに力強い造り込みであり、白けも一段と強くなる点などからそう言う極めになるのかも知れません。
大道と言っても大兼道(三品兄弟の父)同人だけではなく、同時代に多数おりますので、今回の御刀の「大道」の極めが何を指して居るのかを詳しくお聞きするのを忘れてしまいました・・。
一般には大道と言うとあまり注目されない刀工かもしれませんが、こういう渋い出来の刀にはなぜか引かれる物があります・・。
また、この御刀は下地研磨が大変丁寧に行なわれておりました。
そして仕上げも誠に地味ではありますが、地肌を押さえ込み、とかく嫌われがちな白けを自然のままに最後まで残す艶使いと拭い・・・。
本当に色々と考えさせられ、大変勉強になる御刀です。



万力(バイス)を

仕事の道具類はネットで購入する事が多いです。
夕方までに注文すれば翌日には届くお店も有れば、注文後数日~2週間程度でやっと届くお店も。
翌日に届くと、「ネットはこれでしょ!」っと思います。 ちゃんとした所はこれです(在庫切れや取り寄せ商品を明記して無い店も多い)。
酷い所はメール連絡までに何日も掛かる事もあります・・。
基本的に仕事道具は「今欲しい!」と思い我慢出来なくなるタイプですのでホームセンターに走る事はよく有ります。 ちゃんと状況を考えずに行ってしまう場合が多いので、何件もはしごしたり一日に2回3回と往復する事もしばしば。
先日はちょっと特殊な万力が欲しくなり、以前確かホームセンターで見た記憶がありましたので行って見ました。
うちの近所のホームセンターはあまりやる気が無いのか品切れが多い(怒)。
万力なんて言うめったに売れない物は当然品切れ多数。
しかしなんとか一つだけ目当ての物が有り購入(嬉)(ドイツ製で見た目以上に異様に高く驚いた)。
ホームセンターって色んな商品で結構頻繁に「あれはもう扱って居ないんです・・」と言われる事が有ります。
別タイプの万力で二つ持っている物があるんですが、今回見かけなかったので聞いてみたら、「今はこのタイプになります」と言って別の物を見せられました。
めちゃめちゃな商品です。  こんなの売るなよ(悲)。
閉じても片側がミリの大台を越えてるんじゃないかと思うほど隙間が出来てしまいます。 考えられへんわ・・・。
挟む部分3~4センチの小さい万力でそんなに隙間が出来るなんて。 
10個ほど有って全部アウトでした。
所詮ホームセンターなんてもんはこの程度と言う事なんでしょう。  とブログに書かれても仕方無い商売をやってます。
やっぱり made in Japan を応援しよう。
おもちゃコーナーで娘にこれを買って帰りました。

画像

無言でず~っと切っています。 後姿がいい(楽)
これはもしかしたら made in china かな(^^;)



砥石にはいつも振り回される

今日は砥石屋さんへ。
お昼はCoCo壱でカレー。 久々です。4,5年振りでしょうか。
私の口は家で子供用に作る味の薄いカレーに慣れてしまって居る事をすっかり忘れて”5辛”を注文してしまい後悔・・。
口の中がシャーッて言うてました。 
せっかく久々のカレー屋さんやったのに・・・。 トッピングもいっぱいしたのに。(私はもともと辛い物は苦手なんです)
そう言えば嫁さんはいつも10辛を食べてて、何でそんなもん食べんの?みたいな事を聞いた事がありますが、「女の人は刺激を欲しがってんねん」て言うてました。  
そう言うもんなんですか・・・。 
でも確か「女の人は安定が欲しいねん」てのもよく聞きますけど(^^;)
毎年砥石や仕事関係の道具に新刀上作脇指が買える程度費用が掛かってしまうものですが、砥石には天然人造問わず本当に振り回されています(私の場合)。
残念ながら安定供給は有りませんので安定した研磨をするには闇雲に色々入手して良い物に当るしか無いのです。
研磨レベルを安定させるのはなかなか大変なものです。