薩摩上げ脇指
大振りの”薩摩上げ”です。
この造り込みは度々ブログに登場しますが、「刺刀(さすが)」が正しい名称で「薩摩上げ」は俗称です。
昭和40年の刀美第98号に佐藤寒山先生が「さすが(刺刀)のこと」として”刺刀”や”薩摩上げ”の語源について書かれており、上記の事は知っておりましたが、”薩摩上げ”の方がなんだかキャッチーな響きなので薩摩上げの呼称も棄てがたいですね。 (薩摩上げの語源は過去ブログで)
その記事を改めて見てみると、「本阿弥家の鑑定用語にも武家目利の間にもないものであって、どうも町方の刀屋の間にのみ使用せられたもののように推量される」と書かれております。
過去の重刀指定を見ますと、
脇差 備州長船住景光 正和二年十月日 長さ1尺1寸5分半
脇差 則重 (古備前) 長さ1尺1寸
脇差 助真 長さ1尺0寸8分半
短刀 正恒 (折返銘) 長さ9寸2分
短刀 無銘 (景安) 長さ8寸5分※
短刀 景安 長さ9寸0分強
等がありました。
形状は菖蒲造りや鵜の首造り、冠落し造り等で、いずれの品にも「刺刀に直したもの」と言う風に解説があります。※この短刀には刺刀で有ると明記されていませんが諸条件から刺刀に類する物と思われます。
押形の刺刀は約一尺三寸。
切っ先の鋭さは他の比ではない。