平成24年 10月 京都支部刀剣入札鑑定

午前中、お東さんへ。
度々書いてますが市内の有名な所にあまり行っておらず、この東本願寺も初めてです。
ちょっと、他のお寺とはスケールが違います・・。
床板の厚さ、凄いです。
何十本有るのか知りませんが巨木の柱、凄いです。 
この木目はケヤキですがこんな巨大ケヤキ柱がこんなに沢山・・・。
明治の建物だそうですが、本当に凄い。 
うちの田舎から伐り出した巨木が三十三間堂に使われていると言うお話は聞いた事がありますが、こちらでもやはり使われているのでしょうか・・。
さて、入札鑑定。
一号 刀
二尺二、三寸。 身幅少し狭い。 重ねは応永の雰囲気。 手持ち重い。ハバキ付近が極端に反り先は極浅い反り。
地錵よく付き地景も。 良い地鉄。 師光風の低い互の目。 足が刃先に抜ける部分多数(欠け出しと言う意味ではなく。刃先に達すると言う方が正しいですかね)。 細い二筋樋。両端に寄るので樋と樋の間が広く、樋先は七分ほど下がる。
備前風ですが造り込みや出来など色々な部分に少し違和感を覚える。  こう言う出来が有るかどうか全く知りませんが千子正真と入札。
二号 脇指
尺六寸ほど。 片切刃造り(表切刃、裏平身)。 切刃部に横手の有るタイプで刃三つ角が張る。なので裏の平身側は見慣れない人には異風に見えるかも。 切っ先はこのタイプにしては少し詰まる。
詰む鉄。 匂い口深く間の詰まる互の目。
一見親國の様ですがこの造り込みの親國だと彫りのイメージがある。 刃中の働きの中に匂いの付き方が逆転した箇所が多く、播磨大掾によく見る気がする。    播磨守忠國と入札。
三号 刀
二尺四寸台か。 ヒラヒラ。 鎬地強く柾。 直調湾れ。 匂い口深いが刃中に足は無い。少しばさける。 帽子の返り深く止めが固い。
造り込み等江戸新刀。 ばさけと返りから康継と少し迷うも兼重か。  足が無いので和泉守で。 和泉守兼重と入札。
四号 脇指
尺五寸程度。 幅広で大切っ先。 地錵よく付く。 平地中央付近全体に杢目が目立つ。 刃先までよく錵る。
大変よく出来た刀だと思う。 虎徹に入れたいが・・・彫りも無いし。 それだと多分外れるので伯耆守正幸と入札。
五号 大太刀
三尺くらい。幅広。反り深。大変重い。 色々複雑な互の目。 焼き幅広い。 刃中の働きは乏しい。
印象は古三原(出来は末風)。 それ以上時代が上がる事は無いでしょう。
古一文字で同然と言う声が聞こえてしまった・・・。 
困った・・・と言う事で、長船秀光と入札しておこう。
 時代違いイヤ
 イヤ
 当
 当
 能
一号は時代違いをやらかしてしまいました。 こうなってみると、この反りの異風さと、ぱっと見古く見える地刃から一発で当てないと全然ダメだった事が分かります。 研ぎ減りで足が刃先に達しているのだと思って一切全く思い浮かばなかった・・。    大慶直胤と入札。
二号。二札目で何故これに入れたのか全く覚えていない。 出羽大掾国路と入札。
三号。とりあえず点数をもらおうと心変わり。一文字と入札。
 当
 同然
 当
 当
 同然
一号 刀(太刀銘) 荘司筑前大掾大慶藤直胤(花押) 文政十二年仲春
二号 脇指      於大坂和泉守國貞作之
三号 刀       和泉守藤原兼重
四号 脇指      薩州正良 天明六年午二月
五号 太刀      備州住則包 建久三年十一月吉日
五号太刀は奉納刀だそうです。時代等はともかくよくぞこの健体で残っていてくれました!

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