研磨工程を ⑤

某日、細名倉を終え内曇砥に進みます。
内曇砥は下地研磨の最終工程です。 
 ※改正~細名倉でもそうですが、砥石の粒度が細かく成って来ますと研ぎ桶の水や研ぎ舟に残る荒砥の粉は刀身にヒケ傷を付ける原因となりますので、改正砥あたりからは通常以上に清潔に保たねばなりません。 そしてこの内曇砥以降はその究極の工程で、砥石を効かす事と同時に”ヒケとの戦い”でも有ります。
ですので私は、下地研磨は細名倉までで、内曇以降を仕上げと考えています。(HP左メニューの研磨工程説明や上記では一般的な分類で書いています)

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これまでの工程で一つの砥石に要する時間は半日~4日程度でしたが、内曇砥は一種類の砥石の工程としては最も長い時間を要します。(刀身の長さや造り込み、刃文の種類や硬さ、地肌の状態などにより日数は大きく変わります)
内曇砥は石の硬さにより「刃引き」「地引き」などに分けられます。
基本的には軟質の物が刃引きとして使われます(名称は”刃引き”ですが地刃の全てに当てます。地引きは地のみに当てる人、刃中まで当てる人などさまざまだと思います)。
画像、表は腰部が軟質の刃引き、中ほどから鋒に向い少し硬めの石を当てています。
私は刃引きは特に軟質の物が好きで、地引きは特に硬く詰んだ物が好みです。 
私の場合は、軟質の刃砥で刃のみを引き、少し締まった石で平地を引き、その後地砥に移行します。
鎬地や棟はそれ専用の曇りを使用します。
時間もかかりなかなか辛い工程ではありますが、研磨の良否を決定付ける工程の一つでもある重要な作業です。(どの工程一つとっても全て重要なのですが)
しかし例えば、この工程を1日で終えた研磨と5日間かけた研磨の違いに対し、労力に比例するだけの評価がなされる事は少ないと言うのが現状かもしれません・・。 なかなか辛いですね。 ・・だらだら書いてしまうと余計な事まで話が及びますね。 研師はひたすら内曇を引いとけ!と怒られそうです。すみません。

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