またですが差し込み研ぎのこと
「差し込み研ぎ」ですが、ご依頼を頂く事は度々あります。
また近年の研磨で差し込み研ぎが行われた物を見かける事も多々有ります。
”まぼろしの研磨”的に言われますが、なかなか人気の有る研磨方法なのです。
”まぼろしの”的に言われますので余計人気があるのかも知れませんね。
因みに私も大好きです。
刃取った御刀とはまた違う重厚感が有るように思います。
実際の研磨方法の違いと言えば、一番大きいのが拭い材料の違いです。
鉄肌なのか、対馬・磁鉄鉱などなのか。
鉄肌の場合は通常の工程の通り進むのが一般的ですが、差し込み研ぎはさまざまな進み方があるのです。
「下刃艶・地艶・拭い・刃艶」これらの要素を色々と組み替える事により、様々な結果が生じます。
さらに地刃の鉄質や映りの有無などにより結果は一様ではありません。
全てでは有りませんが実際研磨をさせて頂く場合、古研ぎ薄錆身などに見る深い色合いの差し込みを目指して研磨をさせて頂いております。(それらは青みなどは殆ど無くひたすら黒いものですが、それを良く無いとは感じません)
古研ぎ薄錆身などの御刀は、打ち粉によるヒケ傷だらけで地肌は大肌のみになっていたり白い肌が目立ったり、錆が多数出ていたりと状態は良く無いのですが、数十年~100年以上研磨されずに居たと言う、大変奥床しい雰囲気をもっています。(おそらく差し込み拭い材料のみの研磨では無いと思われる色合いの物も多数見かけます)
新たに研磨を施しその”奥床しさ”を出すとなると、非常に困難なのですが、せっかく差し込みで研磨をさせて頂くのであれば、その奥床しさを出したい訳で、いつも色々と工夫を凝らし研磨させて頂いております。
そんな中、映り気の強い御刀に対し、なかなか良い研磨方法に辿り着く事が出来ました。
より自然な匂い口で良い味わいが出せるようになったと思っております。
今後の研磨に生かして行ければと思います(写真では自然さは伝わり難いですねぇ(^-^;)。