差込

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「差し込み研ぎ」と言う研ぎ方が有るのですが、明日は差込拭いの作業を行いますので今晩は拭いを作ります。
差し込み研ぎと現代多く行われている研ぎ方の一番の違いは、「拭いの材料」と「後刃取りを行うか行わないのか」と言うところです。
通常の研ぎの場合、拭いの原料は鉄肌ベースの物を使います。
この場合、拭い原料の硬度は高いものですから刀の焼刃にも良く効いてしまい、地部と共に刃部にも黒く拭いが入ってしまいます。
このままですと、刀身全体が真っ黒くなってしまいますので「刃取り」と言う作業を行います。
差し込み研ぎの場合、拭いは砥石の粉や磁鉄鉱を原料とします。
砥石の粉の場合、細名倉や鳴滝、対馬砥等を使うのですが、天然砥石ならば程度の差はあれ何でも有る程度刀身を黒っぽくは出来るのではないでしょうか。  内曇はダメかな(^-^;
(細、鳴滝、対馬は何度も使いましたが、結構使えました。今は磁鉄鉱が好きです。)
 これらの差し込み原料は鉄肌などの場合に比べると、地部により強く作用し焼刃に対しあまり拭い効果を発揮しませんので、結果的に焼刃は白っぽく浮き立ち、差し込み拭い独特の味わいを出す事が出来ます。
では、何故後刃取りが必要となる鉄肌拭いなんぞを使うのか?!っと言う疑問も出、差し込み研ぎを”幻の技術”的な感じで珍重するお話もよく聞きます。
なんででしょうかね・・・。
鉄肌拭いは凄く優れた拭いなんですよっ(*^ー^)ノ
色々と良い点があるので全ては書きませんがまず、
 弱い力でも短時間で黒く入れる事が出来ます!
これは地艶の効き具合も大きく作用しますので一様では有りませんが、差し込みよりは断然この程度は大きいです。(そもそもどこまで黒くしたいのかと言う点で差し込み、鉄肌それぞれで各研師の好みは大きく違いますが)
この事は、「地肌を倒さない」と言う大変大きなメリットが有ります。
差し込み拭いは鉄肌に比べ、黒くする力が弱いですから、鉄肌と同程度の黒さにするには力や時間が掛かります。
結果、肌を倒したりその他の不具合が起こる事があります。(これも上記カッコ内の理由によりさまざまです)
 また鉄肌拭いの場合、差し込み拭いでは得られない照りや潤いを得る事も出来ます!
これも鉄肌拭いの原料独特の効果ですが、拭い原料配合の調整により、地部の照り具合を操作したり、青みなども拭いの効果による事も多く有ります。
この二点だけでもそれに関連して地沸や地景が強調されるなどの効果が付随する事も多々有ります。
そして忘れてはならないのが「刃取り」の効果です。
刃取りは拭いで黒くなってしまった焼刃を単に白く戻すと言う事では無いものなのです。
書き始めるとかなり長くなりますので止めておきます・・・(^-^;
刃取りに対しあまり良い印象をお持ちで無い方に出会う事もまま有りますが、より深く刃取りの事を知って頂ければ必ず良い方向にも見て頂く事が出来ると思っています。
差し込みの拭いを使用して、その後通常研磨で行う後刃取りをしたらどうなのか?と言う事ですが、先に書きました様に差し込み拭いの場合は地鉄の色合いが地味な仕上がりになるのものです。
ですので特に好みなどの理由が無ければ通常は鉄肌拭い~刃取りと行うのが一般的です。
さて、ではなぜ差し込み研ぎをするのか?!ですね・・。
色々ありますが、その方が良い場合があるのです。
匂い口締まり気味で鎬筋を大きく超える刃が連続する物や、皆焼などです。
鎬筋を超える様な高い焼刃を刃取る場合、鎬筋に掛けて刃取ると見苦しく成る場合が多い物です。この場合はその下で切るのですが、あまりに連続する物を切り過ぎるのも精彩を欠きます。 その様な場合は思い切って差し込みにした方が良いと思います。
しかし差し込みにする場合、地鉄がある程度以上整って居る事が条件ではないかと思います。
地が荒れた物を差し込むと、その荒れた部分ばかり目だってしまいますのであまり荒れた物は鉄肌拭いで押さえ、刃取りで目立たなくする方が無難な場合も多いでしょう(*^ー^)ノ
あと、古研ぎで差し込み風になって大変良い味わいを出している御刀が有ります。
この中には元々は刃取りをして有った物も少なからず存在します。
打ち粉による永年にわたる手入れで刃取りが薄れ、差し込みの様な状態に成った物です。
刀身表面は打ち粉などによるヒケ傷だらけですが、映りが有る物などはそれが大変強調されて、なんとも言えぬ良い雰囲気になって居る事がありますね。
こう言う状態の御刀を研ぎなおす場合は大変苦労します。 元の味わいを出すのは至難の業ですので・・・。
わぁたまにまじめに研磨の事を書こうとすると変に長くまとまりが無くなってしまいます(;-_-)
多分大事な事もスッポリと抜けて居たりするのでしょうねぇ・・・(-_-; 
なにより頑張って拭いをすらなければ・・・。

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