陸奥守忠吉

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刀、銘 肥前国住陸奥守忠吉

27回目。唐突に肥前に戻ります。8回目と同じく忠吉家三代目、陸奥守忠吉。
全身押形のよいところをあげるとしたら、まず姿を把握しやすい点があげられるでしょう。
私、近年は切っ先と茎尻を同じ幅で押形採拓を行っていますが、それにより姿の把握がしやすくなります。
実際に刀を見て、腰、中程、先と、どの位置の反りが一番強いか、その刀が”何反り”かを掴むことは案外難しいものです。
しかし全身の表裏を描いた全身押形を見れば、反りを容易に把握できます。
今ブログでUPさせて頂いて居る押形でいうと、17回の龍門長吉は少し反りは浅いが腰反り、1回目の則縄は腰反りだが先まで力強く反る、7回目の近江大掾は反りは浅いが腰付近が反っています。
そして今回の陸奥守忠吉。7回目の近江大掾とは全く違い、輪反りに近くそして深い反りです。
全体に淡く映りがあり、刃中には金筋が入り、帽子も普段の肥前刀とは違い、総体に古い雰囲気を感じます。
肥前刀には度々古作の写しをみますが、この陸奥守忠吉も何か古作を狙った作なのかも知れません。

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