拵え完成
拵えがほぼ完成しました。(下げ緒がまだで、今は棚に入っていた適当な物を巻いています)
鞘長約73㎝、柄長約21センチ。
天正拵が欲しく、一生に一本と思い刀装具探しを始め、それから何年かかったでしょう。。8年7年でしょうか。
一旦拵が完成し、その後もっと好きな笄が見つかってしまい差し替えたので、鞘の笄櫃に笄が完全には合っていませんが、それでも構わないと思える好きな笄で。(好き過ぎて何年も前からずっとスマホの待ち受けになっています)
拵一旦完成後、一番好きな厳島西蓮拵に寄せたくなり・・・。2年ほど我慢していましたがやはりどうしても我慢出来ず再度柄製作に。
それから2年半ほど掛かりましたがついに巻き上がりです。
その前に、あえて1,5ミリと厚く作った金着切羽の色がうるさくなり厚い赤銅切羽に作り替えていたのですが、次はセオリーを無視した厚い切羽が嫌になり、古い拵に見る薄い切羽が欲しくなり。20代の頃憧れた金着厚切羽(厚赤銅も)を捨て、地味な0,5ミリ赤銅切羽に作り替え。
最初の巻の時、サンプルに渡していた柄革写真の色に合うようにあえて赤銅でなく山銅の目貫を探し揃えたのですが、柄革の染は簡単ではないそうで思った色で上がって来ず、結果山銅目貫の色と合わず。鮫も天正の黒鮫が苦手で桃山拵の朱鮫にしていましたが、それとも合わずで。
理想の柄革色が難しいそうなので、赤銅のこんもりした古い目貫を入手しそれをお渡しし、最初の柄は鞘長比標準の24㎝でしたが、西蓮拵の20,3に近づけるべく21㎝で作って頂きました。(西蓮拵通りの20,3㎝もかなり考えたのですが、冒険が過ぎるので少し大人しく21㎝に)
今のシトドメは「金黒金」ですが、多分今後全部黒が好きになりそうで「黒黒黒」に作り直すことになるかもです。
にしても好きな姿の拵にするために一番重要なのは、刀その物の姿ですね。しかしそう都合よく理想の姿の刀はありません。
鞘師さんはその極限を衝いてかっこいい拵を作ってくれるのです。鞘師万歳。
今回の拵が完成に至るのに一番重要だったのは、刀身でも笄でも柄長でもなく、縁金具の存在です。
筋違鑢の赤銅着天正縁。地味ながら味わい深い赤銅色で、縦径に加え、側面のこんもり感が絶妙。
刃方棟方の角度も理想の極致。
この縁はいつもお世話になっている方から頂戴した物ですが、この縁が無ければ何も始まらず、今この完成はありません。
本当にありがとうございました。
一生に一つと思っていた拵、またもう一つ頑張って見ようと思い始めていますが、この縁を超える品に出会える気がしないです。。