則重

刀、無銘 則重

ブログでの全身押形紹介、研磨記録ページでは未公開の物ですが、今回で50回目になりました。
いつも丸筒に入れて保管していますので何枚あるか数えずスタートしましたが、こんなに採拓していたのですね。。
今回は鎌倉末期、越中の刀工則重です。

則重は正宗十哲の一人に数えられている刀工ですが、現在では新藤五国光の門人であり行光とほぼ同時代、同門の郷義弘や正宗の先輩格と考えられています。
短刀には比較的多くの在銘品が現存しますが太刀では数口しか確認されていません。
相伝上位の中でも一際異彩を放つその出来は、正宗以上に錵の変化が激しく、松皮肌と称される独特の肌合いを特徴としています。
今回ご紹介の刀は松皮ごころが然迄強くなく、多くの則重に見る刃錵が地に散り湯走りとなる作風とならず、錵は刃先に向かい降り注ぎ、煌めく刃肌となります。
本間先生が則重について「古伯耆或いは古備前にも結ばれる枯淡な刃文がある」と解説されていますが本刀はこれにあたり、若干沈み気味になりがちな則重にあって地刃ともに明るさが際立つ出来となっています。

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