刀の硬軟
ブログ中、入札鑑定の事などでもそうですが「硬そうな鉄」「柔らかそうな刃」など硬軟に関する内容がありますが、意味が分からないと言う事を聞きました。
なるほど、硬そうに見える、柔らかそうに見える、と言う事は毎日研磨して居る研師だからこそ分かる事で普通に鑑賞して居る方の目にはそう言うふうには見えていない事もあるわけですね。
例えば丁子や互の目などの乱れる刃文で焼き頭(焼きが高い部分)がポコポコとふくらんで居る場合、刃が硬い可能性があります。(刃自体はそれほど硬くは無いが、地と刃の硬軟の差が激しいと言う場合もあります)
しかし研磨時のしゃくり具合でもその度合いが変わりますので原因を見極めなければなりませんが・・・。
わぁ・・書き始めてから気が付きましたが説明は簡単ではないですねぇ。 後日改めて書く事にしましょうか・・と言う感じです・・。
関連して思い出しましたが以前(かなり昔)ある場所で、新刀最上作の刀(重要刀剣)を取り落として大きく刃がつぶれる瞬間に遭遇した事が有ります。
すぐにかけ寄り見せてもらいましたが物打付近に二箇所、幅、深さとも1ミリ弱程度の刃こぼれが出来ていました。(パチンと欠けるのではなくグッと押し潰れた状態)
1ミリ弱の刃こぼれとは現物を見ればかなりの重症に見えます。
その刀に当った相手とは、家庭用の蓋付きプラスチック容器です(当った時は蓋を外した状態)。
容器のちゃんとした名称は分かりませんが、イメージ的にはタッパーウェア程度の物です。
落ちた刀側には大きな刃こぼれが二箇所出来ていましたがプラスチック容器側は無傷。(刀の刃こぼれ2箇所は容器の直径とほぼ一致)
その刀の刃は大変明るい物でした。
柔らかい刀とはこういうレベルの柔らかさと言う事なんです。
そして刃の明るさと刃の硬さの関係は一般に考えられがちな内容とは違うと言う事です。