無題
前回からあまり間が空かずでまた生品の山を拝見。
何十あるか数えずだが前回の倍以上か。
山盛りの鞘の雰囲気で大体の筋は分かるもので。この山は大名クラスかと。
大名物の山を見ても必ずと言っていいほど、豊後行平、僧定秀、貞次、則重、廣光、来国俊、来国光・・・の様な偽銘はある物で、しかしそれとてなかなか面白い出来であったりするもので。。
今回もそういう品が少し入るが、基本的には大変筋の良い品。
生茎在銘の福岡一文字。近年拝見したこの銘の太刀と全く同じ手。まだ眠っていたかと大変驚く。
生茎在銘の太刀(茎尻を僅かにつまむ)。茎先に手貫緒穴の痕跡。大筋違。縮緬肌風。昔見た弘次に非常に似る出来。
しかし銘鑑では古青江にこの名はない。
大磨上げ無銘。全身に茶色く油が固着し地刃不明。苛性ソーダで除去。
焼き幅虎徹より少し高い程度で特に突出する山は無い。
丁子刃で刃中の働き尋常でなく、各所に大房の丁子も。
刃中の錵の豊富さ、明るさが凄い。地鉄完璧。淡く映る。
誰の作か。。
この種の出来では重文まで含めこの10年で見た中の一番の出来だと思う。