全身押形の採拓

最近採拓した全身押形、山城物生ぶ在銘鎌倉中期太刀、山城物鎌倉末期在銘短刀、越中物無銘刀(金象嵌)、越中物在銘短刀、古備前折返銘太刀、無銘青江、年紀入倫光、末手掻在銘短刀、新刀焼け身の研ぎ身、吉岡一文字刀。(重文3,重美1,特重1,重刀2)
焼けっ放しの刀の全身押形をこんなに真剣に採拓した人は過去もしかしたら居ないのではなかろうか。。
丁子が苦手な私ですが、今回の吉岡はやけに早く描けました。やっと体に記憶出来てきたのでしょうか。人より山盛りやらないと体得出来ない。



昔の研ぎ

しばらく前に古研ぎで錆が各所に発生している刀を2口、太刀1口を研がせて頂きました。(室町末期、室町中期、鎌倉末期)
その研ぎが私の大師匠で永山研修所出身の内山一夫先生の研ぎであった事が判明。
内山先生は奈良県の無形文化財保持者で、重文の太刀や直刀(研磨後に指定)など、多くの古名刀の研磨を手掛けています。
先日の3口は誰の研ぎか知らずに見たわけですが、肌目を強調せずしっとり落ち着かせ、刃取りは白さ高さとも抑えた仕上げで、”真面目な研ぎ”という表現がまさに相応しい仕事でした。
内山先生の研ぎを意識した事は今まで全く無かったのですが、おそらく何度も見ているのでしょうねぇ・・・。
刀身の鎺下に研師銘を入れる気持ちも少しだけ理解できます。(内山先生は入れていません)



硬い刀

互の目の現代刀と中河内を差し込み研ぎで仕上げました。どちらもかなり硬い刀。
現代刀の方は刃に内曇りが効きづらい。中河内の方はまたちょっと違う質ですが硬さは同等。
私の場合こういう硬い刀の方が差し込みは上手く仕上がります。



砥石を試す(内曇りと細名倉)

その後さらに30丁、さらに50丁ほど試しを。
結局目当ての研ぎ味の石は見つからず終わりました。

せっかくなのでもう何十年も気になっている細名倉についても。
20代の頃は中名倉と細名倉は天然を使用していましたが、いつ頃からか人造に切り替え、今も人造です。同じく人造細名倉を使っている人は多いと思います。しかし「細名倉は天然じゃないとダメ」という方も結構居られて。
人造細名倉と天然細名倉、比較すると人造の方が砥粒が細かいのは確かだと思いますが、何故に天然が良いというのか・・・。
天然細と人造細を表裏で研ぎ分けてみた事は何度かありますが、明らかに人造の方が仕事が速いです。
改正・中名倉から細名倉を効かせる時間、細名倉から内曇りが効くまでの時間は人造細名倉を使用した方が速い。
「天然じゃないとダメ」と言っている人は人造細名倉をしっかり長期間使用した事がないのでは?と思いつつも、もしかしたら何か別の作用があるのかもとも。
今回はしっかり確かめたく、砥棚にある天然細名倉の内、良いと思う物12本を使い検証。
結果、”細名倉は天然”派を理解出来ました。天然細名倉は面白い。