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薩摩上の原形

2018年04月16日【ブログ】

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薩摩上げの原形復元想像絵図を描いてみました。
以前のブログで薩摩上げの語源について何かの本に書いてあったことを載せた事がありました。
『語源ははっきりしないようですが、「日本地図、江戸側から見ると薩摩は日本の切っ先部分であり、そちら側から切り詰めて短くし、短刀に仕立て直した物。 薩摩側から磨上げるので”薩摩上げ”」 という説が有力のようです。』と確かこれは本の通りに書いたと思うのですが、実は書きながら、何かおかしいなと思っていました。
今回この押形を描きながら思ったのですが、この文では不十分ですよね。
江戸から薩摩方向を見てそちらが切っ先で、その方向から切り詰めるので薩摩上げ。
江戸から会津方向を見てそちらが切っ先で、その方向から切詰めて会津上げとは言わないです。何故薩摩なのかが重要なのでしょうね。
刀剣美術の昭和40年、第98号、佐藤寒山先生の「さすが(刺刀)のこと」を改めて読んでみると、”薩摩上げ”の呼び名はそれほど古くはないようだという事が書かれてありました。
この造り直し自体はおそらく古い時代から存在したと想像しますが、それを薩摩上げと呼ぶ様になったのは薩摩を強く意識した江戸末期の事だったのかも知れないですね。

奈良県立美術館にて特別展「奈良の刀剣 -匠の美と伝統-」が開催されます。
会期は2018年4月21日~6月24日まで。

会期中、河内國平刀匠、月山貞利刀匠、金田國真刀匠、月山貞伸刀匠の講演や対談があります。
詳しくは下記リンクよりチラシをご覧ください。
奈良の刀剣 -匠の美と伝統-1
奈良の刀剣 -匠の美と伝統-2
そして4月30日には1階ロビーにて奈良の研師 関山和進師さんによる研磨実演が行われます。
以前のブログ、最後の方に少し出て来るのがこの方です。

特別企画展「兼定 刀都・関の名工」

2018年04月15日【ブログ】

岐阜県博物館にて開催予定の特別企画展「兼定 刀都・関の名工」、開催まであと2週間を切りました。
本日より展示設営開始です。
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多数の兼定・兼㝎が並びます。
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(画像はPR用に撮影させて頂いたもので、会期中は撮影禁止となります)

また、関鍛冶伝承館では「美濃の名工兼元」展を同時開催。
詳しくは下記をご覧下さい。
http://www.pref.gifu.lg.jp/event-calendar/c_27202/300322kanesada-goudou.html
http://www.pref.gifu.lg.jp/event-calendar/c_27202/300322kanesada-goudou.data/300322kanesada-goudou.pdf

「京都刀剣まつり」開催!

2018年04月13日【ブログ】

今年も京都刀剣まつりが開催されます!

第22回 京都刀剣まつり

日程

5月2日(水)午前11:00~午後4:40
  3日(木)午前 9:30~午後4:40
  4日(金)午前 9:30~午後4:00

場所

 京都市勧業館(みやこめっせ)B1特別展示場

会期中、演武、試斬会、甲冑・刀剣初心者講座、甲冑武具展示・着装解説、銃砲刀剣研究会による審査など、様々な催しがあります。
詳しくは下記チラシをご覧ください。

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有成

2018年04月09日【ブログ】

先日博物館の研究員さんと話していて、有成の話に。
最近の刀剣事情(流行り)に全く疎い私は有成がここ数年話題の刀だと知りませんでした。
石切さんの石切丸が有成だという認識は近年辛うじて持っていましたが、今はそんな事になっていたのですね、ネットで見て初めて知りました。

有成は現存する品が極めて少なく、その一つが現在石切さんにある「太刀 銘 有成(再刃)刃長二尺五寸一分」で、重要美術品に認定されています。
重要美術品全集の解説に本間先生が「経眼した作品はこの太刀一振りである」と書かれていますし、平成5年の刀剣美術第438号、寒山刀剣初学教室の中で寒山先生が「有成の作刀は重要美術品に認定されている太刀一口より他に物がありません」と書かれています。

しかしそれより後、確か平成14年から16年頃、私が30歳前後のころですが、この重美の有成(石切丸)以外にもう一振り、有成の太刀が発見されています。
当時某所で白鞘入り古研ぎの太刀を見せられました。「どう思う?」と。長さは二尺四、五寸だったでしょうか。反りは少し異風だと感じた記憶があります。
古研ぎという事もありますが、あまり冴えた刃文ではなく、再刃の典型と見えました。思う事をその通り伝え、白鞘の柄を抜くように促され。。
少し細めで刀身に比してかなり長い生ぶ茎。確か茎の反りもそのままで、茎尻もつまんで居なかったと思います。そして非常に鮮明な銘で「有成」と。
その後、この太刀は協会審査に出され「(再刃)」とした上で保存審査に合格しています。
通常協会審査では再刃の刀は不合格となりますが、著名刀工の在銘作中特に資料性の高い物は(再刃)とした上で合格する事があります。
例えば過去の重刀審査では、短刀 銘 国光(名物小尻通国光)、短刀 銘 国光(新藤五、片切刃造り)、短刀 銘 行光(名物不動行光)、脇差 無銘(名物獅子貞宗)、太刀 銘 近村上(ちかむらたてまつる)などの合格例が。
あの有成の太刀、その存在を知られぬまま眠っているのは惜しい気もします。

輪ゴム危険

2018年04月05日【ブログ】
以前、鞘の無い裸身の刀を研磨し、拵えの完成を待つという事がありました。
拵えが完成するまでの間、刀身にたっぷりと油を塗り、ティッシュペーパを全体に巻き付け、さらにその上から油をたっぷりとかけ、細長く切ったさらしを五重になる位厚く巻き付け、物打辺りを輪ゴム(薄茶色のあのごく一般的な輪ゴムです)で留めて3~4週間ほど保管していました。
その後拵えが完成しさらしを解いたところ、物打付近の輪ゴムで留めていた部分に白錆が出ており、また研ぎ直す事になってしまいました。先日そのエピソードをいつもお世話になっている刀鍛冶さんに話したところ、輪ゴムには硫黄が含まれおりそれが原因だと思うと教えて頂きました。
短時間なら影響はないでしょうが、2~3週間と少し長い期間でしたので何重もの布や油膜でも硫黄の影響が防げなかったようです。
あの輪ゴムで白鞘に登録証を巻き付けている物を頻繁に見ますが、輪ゴムが劣化して溶けてベタベタになり白鞘を傷めている物もよくみます。
それを防ぐために私は髪留め用のゴムを使っていますがそのゴムには硫黄などの成分が含まれていないのか、少々心配になってきました。

書いていて思い出しましたが研磨にお預かりしている短刀に登録証用の小袋が巻かれている物がありました。これなら安心です。
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