入鹿住藤原實綱

2020年06月23日

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あいにくのお天気ですが、また入鹿にくることが出来ました。前回も小雨でしたねぇ。http://kyoto-katana.com/archives/7086/
刀の世界では「入鹿=紀州」ですので、今の入鹿も和歌山県だと勝手に思い込んでいましたが、今は三重県です。境界が昔とは違うんですね。
前回は滞在時間五分で、しかも紀和鉱山資料館さんは閉館しておりました。
しかし今回は鉱山資料館職員さん立ち合いの元、入鹿實綱の槍を手に取り拝見させて頂き、また画像のブログUPのお許しまで頂く事が出来ました。ありがとうございます。

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槍、銘 入鹿住藤原實綱
刃長一尺二寸七分七厘(ケラ首長6.2㎝)
この槍は「紀州の刀と鐔」所載の品ですのでその存在は知っていましたが、鉱山資料館さんに保管されていたのですね。出会えて感激です。
今回手に取らせて頂き驚いたのが、以前ブログで紹介させて頂いた實綱の槍と非常に似ている事です。

 

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槍、銘 紀州入鹿村實綱作
こちらは刃長が一尺四寸七分二厘でケラ首が7,7㎝と鉱山資料館さんの槍より少し大きいのですが、全体の造り込み、樋の形、茎の太さ茎尻の形状、地肌に刃文と、全てが非常に似ています。(茎尻は若干の違いもあり、そこがまた面白い)
「紀州の刀と鐔」によると鉱山資料館さんの實綱は文明頃の四代、押形の實綱は下って享禄天文頃と思われるとの事です。
銘を見るとタガネ使いに明らかな違いがあり同じ手による銘ではないと思いますが、技術の変化が少ない地方鍛冶の場合、実際の製作年代よりも古く見えたりまた逆に若く見える事もあり、さらに銘切師の存在など、資料の少ない刀工の代別や製作時期の特定は難しいです。
押形の槍は以前ブログで書かせて頂いた通りの名槍ですが、鉱山資料館さんの實綱も「入鹿鍛冶の特徴を遺憾なく示した名鑓である」との「紀州の刀と鐔」の解説のとおり、素晴らしい槍でした。