鍋島景光

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続けて彫のある短刀の全身押形を採拓させて頂きました。
鍋島家に伝わった景光の短刀に倣い、高橋貞次が作刀したものです。

表 元亨三年二月日 以余光鉄 備州長船住景光
裏 鍋島景光ニ倣ㇷ 源貞次 紀元二千六百一年八月日 彫同作(花押)
棟 為井内彦四郎氏作之

片切刃短刀で、表 樋中に素剣の浮彫、裏 孕龍。
この造りは、貞次が倣った景光元亨三年(重美)の八年前、来国俊正和四年の短刀(重美)にも見られます。
来国俊の彫りが後彫りでなければ、景光は来国俊の作に倣ったのかも知れません。(大本となる作は海老名小鍛治宗近と考えられるようです)
また、少し寸は延びますが肥前忠吉にも同作があり、特別重要刀剣に指定されています。

貞次作の本短刀は、紀元二千六百一年(1941年)の作刀年紀がありますが、鍋島家に伝わった重美の景光短刀は1940年、靖国神社遊就館で開催された「紀元二千六百年奉祝名宝日本刀展覧会」に出陳されています。そこで景光短刀を見て影響を受けたのか、または棟銘にある注文者、井内彦四郎が遊就館で見て注文をしたものか、興味は尽きません。

紀元二千六百年奉祝名宝日本刀展覧会出陳刀図譜景光掲載頁(国立国会図書館デジタルコレクション)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1139254/201
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1139254/200

(樋中の素剣の浮彫ですが、彫りの底まで硬く磨り写してしまったため、立体感の無い平面な彫りとして記録する事になってしまい、この採拓方法は正しくありませんでした。底に向かいグラデーションを付けるか、協会の採拓法が正しいと思います)



欄間透

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美濃の陳直(のぶなお・桃山時代)の短刀。
重ね9.3mm 柾目が目立つ出来です。
欄間透の彫りがあります。

彫り物のある刀は押形採拓に手間が掛かるため避けて来たところがありますが、この陳直は大変出来も良く、何より存在自体が珍しい陳直ですので押形採拓をさせて頂きました。

しかし欄間透である上に彫がかなり深い位置にあり、彫をあまり磨り出せず。。
以前初代忠吉の宗長彫の欄間透の押形をとらせて頂いた事があり、確認してみると三鈷柄までなんとか磨り出せていました。
https://kyoto-katana.com/wp-content/uploads/2014/05/rannmatadayosi3.jpg
もう何年も前なのでどうやって採ったのか覚えていません。。
今回は差し表にちょっと大きめの穴が空いてしまった。