支部鑑定

 21年6月21日
一号 脇差
一尺七寸ほどか。
表切刃、裏菖蒲造り。 研ぎ減りから重ねが薄くなる。
表の鎬地に幅が大変広くて浅い棒樋(研ぎ減りで浅くなりダレる)
裏の鎬地二筋樋(こちらもかなり減る)
地は白く荒れた大肌が板目状に多数でてかなり疲れる。
刃は直刃調ですが、研ぎ減りにより刃が下がり直刃になってしまったようで、元来は乱れた物。
焼刃のかなりの部分が沈み、匂い口が逆転してしまっています。
この状態から元の地刃を想像するのはかなり辛い。
切刃ですが越前とは違いそうです。
研磨の話ですが、本造りの刀ならば鎬地を磨き針で磨きますが、切刃造りは鎬地は拭いで終えます。
この脇差には切刃側の鎬地に幅の広い樋が有ります。
切刃ですのでチリ部分には磨きは掛けず、拭いで終えるのですが、これだけ広い樋があると大変厄介です・・・。
拭いで終えた部分と磨きを掛けた樋の部分の色を比べると、樋の方が鏡面でかなり黒く見えます。
そして、その他の鎬地部は拭いで終えているので樋に比べかなり白く見え、結果樋が浮いて見えてしまい、妙な雰囲気になってしまいます・・・。 かなり入念な研磨をしなければ、この様な造り込みの刀は様になりません。
 当る刀ではないので初代忠吉と入札。
二号 脇差
新々刀の大互の目の脇差です。
刃は沸出来。
 手柄山正繁と入札。
三号 短刀
備前短刀。無反り。こづむ。
 寛正則光と入札。
四号 短刀
派手な柾目。 内反り(多分先で)。
少しギラギラ感がありますが、良いハバキなので保昌に。
 貞興と入札
五号 刀
二尺五、六寸。 直刃。 荒い沸。
現代刀。
これは当らない。
 白鞘の柄が長いので剣竜子貞晴にでも。
 
 国違い
 通り
 国入
 国入
 同然
一号
 とりあえず国違いをイヤと捉える事にします。 東へ向かい入札をして行こう。
 肥後守輝廣と入札。 忠吉でイヤなら輝廣とは入れられないんだっけか・・・?!まぁいい。
二号
 正繁で通りですが山陽道には見えないので江戸の方で通りと捉える事にします。
 でさらに”通り”の刀には見えないので江戸で入れよう・・・。
 なんだか考える気力をなくしたので・・。
 水心子正秀と入札。(正繁は一応水心子門ですがどうなんでしょう。私入札鑑定のルールの勉強不足です)
三号
 家助と迷う・・。
 
 康光に入札。
四号
 手掻包清と入札。
 イヤ?
 当り
 同然
 当り
 同然
一号 も少し東へ。 堀川国廣と入札。
 一号  上総介兼重
 二号  水心子正秀 文化九年八月一日
 三号  備州長船家助 正長元年十月日
 四号  包久
 五号  無銘(極めなし)
おっと一号は結局越前に関連する刀工でした(^-^;
それにしてもこの出題刀で95点を取られている方がおられました。
お見事!!
 
 



全身で

今回は全身押形をとらせて頂きました。

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大変出来の良い正廣です。



サイト内検索つけました

検索が必要なほど容量がある訳でもないのですが、左メニューの一番下にサイト内検索を追加しました。
新旧ブログを含め検索出来ます。
ただし新しい記事は検索から漏れる事があります。
古い記事などでも漏れている場合も多くあります。



刷毛目と気泡

先日の柏木菟腰刀拵えの写真で、漆塗りの部分に気泡が写っている写真がありますが、失敗箇所ではありません。
当時の漆塗りの技法を再現し、刷毛目や気泡などを敢えてそのまま残しているのです。



柏木兎腰刀(かしわみみずくこしがたな)

先日、柏木兎腰刀拵と再び出会う事が出来ました。

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今回は私の細工場でしたので、ブログにUpする事をご了承頂き、簡単ですが写真も撮らせて頂きましたのでご紹介致します。

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とにかく薄くてどう表現したら良いか分かりませんがかっこいいんです!

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木兎(みみずく)も可愛いですねぇ。ちゃんと手ズレまで再現されています。

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小柄笄は本歌では欠損なのですが、「この様な物が付いていたのではないか?!」との想像で再現されたそうです。 
笄の耳掻き部は古式に習い裏向きに。
栗型も独特で、返り角の形状・位置・向きなども特殊ですね。
私などには言われなければ分らない事なのですが、下げ緒も南北朝時代の物を特別に再現したそうです。こだわりですねぇ。

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素晴らしい拵えです。

細部詳細写真→ 木兎の拵 | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)