京都支部刀剣入札鑑定会

ちょっとサイクルが早いですが、今回は私が当番と言う事で鑑定刀に山城物5振り、鑑賞刀に備前物二振り、備後物一振りを準備させて頂きました。

鑑定刀

 一号 太刀  銘 国行(来)

 二号 太刀  無銘 綾小路(重刀)
 
 三号 短刀  銘 定利(綾小路)

 四号 刀   無銘 粟田口(重刀)

 五号 刀   無銘 来国次(特重)

鑑賞刀

 一号 太刀  古備前在銘(重刀)

 二号 小太刀 長銘長光年紀入り(新発見の品)

 三号 短刀  備州国分寺住助国作 嘉暦二年紀(重刀)

来國行
一号 来国行。京反りで来国行の標本的姿です。

四号・五号を以前拝見した時の記事http://kyoto-katana.at.webry.info/201403/article_1.html

鑑定刀三号と鑑賞刀三号はいずれも現存稀有な在銘短刀です。
定利国分寺助国

毎回そうなのですが、色々な事にお気遣い頂きつつ、棟から或いは切っ先に気をつけて棟角から、そろりそろりと枕に置いて下さる皆さんのお姿に「この会は素晴らしい」と感じます。

この度も大切な御刀をご提供くださった皆様に心より御礼申し上げます。
誠にありがとうございました。



色々拝見

本日は研ぎ場にて古い品をまとめて拝見した。

平安末期乃至鎌倉初期太刀
鎌倉前期太刀
鎌倉前期乃至中期短刀
鎌倉中期刀
鎌倉中期太刀
鎌倉中後期小太刀
鎌倉中後期小太刀
鎌倉末期短刀
鎌倉末期刀

比較しながら繰り返し拝見する。
古い物なので完璧な状態では無い品もあるが、何度も拝見するうち良さの発見の方に夢中になり小傷やその他の細かい事はどうでもよくなり目に入らなくなっている事に気付いた。
仕事柄普段は欠点を突かないといけない訳だがやはりそれだけでは侘しい。



最近多いですよね

ヤフーニュースなどに刀関連の話題が上がる事が多いですね。
うちのHPもブログや研磨記録のページに今話題の刀工名がありますのでアクセス数は非常に多いです。
例えばヤフー検索で話題の刀工名を「〇〇〇〇」と検索してHPに来て頂くと言う形になるわけですが、その場合トップページに入るのではなく、その刀工の記事ページに直接飛んでくる訳です。 その時その刀工の記事を見て頂き、その後他の記事へとクリックしてHPを読み進めて頂く率はうちのHPで言えば1000アクセス中で2ほどでしょうか。
ネット検索にとどまらず、実際に刀を見に博物館へと足を運ばれる方というのは貴重な存在ですね。
スタイルは様々でしょうが行動する人は貴重だと思います。



切っ先は欠けやすいのです。

もう18,9年ほど前でしょうか。 拵え入りの古刀脇指を研磨させて頂いた事がありました(白鞘の新調は無しです)。
拵えは預からず刀身のみで、お渡しする際、細長くカットしたネルをナルメ作業時の様に刀身にクルクルと巻き、切っ先も巻いて戻って物打で留めた状態です。
「ネルの上から切っ先部分を持つと先が欠ける恐れがありますのでご注意下さい」とお伝えしたのですが、「刀はそんな事で欠ける物ではない」とお叱りを受けました。
しかしその場にいた鞘師さんと白銀師さんが「いやいや違うがな・・・」という事で説明してくださり、ご納得頂きました。
そうなんです、切っ先は大変欠け易いんです。
下地研磨作業時、右手で握る部分には裂帛(さいで)を巻いて研磨しています。(裂帛はネルや木綿などです。滑り止め或いは握る部分を太くし疲れを軽減するために使用します)
研磨作業も進み、内曇や仕上げの段階になると裂帛を巻く位置も様々となり、裂帛による切っ先欠損の可能性が非常に高まります。
ですので内曇以降の作業では裂帛が切っ先をすっぽり覆う形で握る事は出来るだけ避けて作業をします。
長い物ならば、切っ先を裂帛が覆う状態は容易に避けられます。しかし短刀の場合作業上どうしてもそうしたい事も多いのですが、出来るだけ避けるのです。この事は個体差はありますが、古刀、新刀、新々刀、現代刀、どの刀に対しても同じです。

この事一つでも色々な意味を含んでいますよね。多過ぎて書きませんが。
とりあえず、鑑賞会等で刀身を置く時は切っ先を毛氈に当てないように注意が必要です。