刀の全身押形 刃文がつながる

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先日から描いていた鎌倉末期の刀、とりあえず全身の刃文がつながりました。
薄っすらと全身に映りがあり書き込みましたが正面から見ても認識し辛い。
実際の刀の刃文を光に透かして見る様に、押形も斜めから見れば映りもまるで現物の刀を見ている様に見えます。
もしも全身押形を見る機会があればその様にすれば、より現実の手に取っての鑑賞に近い感覚で見られます。なかなかそんな機会は無いと思いますが。

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今まで墨には全くこだわりが無かったのですが書道具店で小さくてかわいい墨があったので買ってしまった。
小さな茶の墨と青墨を。ずっと茶色を使って来たので青を試したく。
使ってみると慣れないせいか濃淡が出しにくく、難しく感じます。
以前は映りにはパステルを使う事が多かったのですが、最近は墨が楽しく、映りを青にしてみようか。



押形 刃文を描き始め 拭いを作る

昨日からとり始めた全身押形に刃文を描く。
働き豊富な刀でかなりの日数が掛かりそう。
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久々に拭いを作った。
もう何年も前に頂戴したがまだ試せていなかった刀工の鉄肌を、焼き時間を変えて二種作成。
同じ効果の物だけは出来て欲しくなかったが、幸い結構な違いがあるようだ。
度々聞く焼き方、昔教えられた焼き方ではない方に高い効果が得られた。
しかしその度々聞く焼き方が間違っているとは簡単には言えない。
どの様な酸化鉄を使うか、時間、温度、組み合わせは無数だから。



全身押形 輪郭

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大磨上げ無銘、備前鎌倉末期の刀。茎と輪郭をとる。
普段は押形という事が多いですが、刀絵図ともいいます。



押形完成

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太刀の全身押形が完成しました。
押形の刃文描写の方法は、墨、鉛筆等いくつかありますが私は墨を使う方法で行っています。

墨での描き方にも描く人それぞれのやり方がありますし、鉛筆を使う場合も描く人によりかなりの違いがあります。
例えば同じ刀を別の技法で描き比べれば、刃文の形こそ同じですが、各技法が表現された全く違う雰囲気の押形となるはずです。
押形の基本は”記録”ですから本来は描き手の個性は必要なく、刀の個性を捉えありのままに再現する事が正しいのでしょう。ただ、技法が違えば出来た物の雰囲気は変わりますし、描き手それぞれの視点の違いもあります。
絵画から絵画へと模写するならば、”完全”もありうるでしょう、しかし見る人の心次第で表情を変えるとまで言われる刀を描くわけです。
完全な記録など不可能。
という事で私の押形は、出来るだけ本物に近い雰囲気(刀を手に取って見ている状態)を描き出せるよう努力するというスタンスで描きます。

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お盆に東大寺近くの書道具店で小さな硯を購入。こういう道具が一つ増えるだけで楽しく描けます。