日刀保京都府支部9月例会

入札鑑定

一号 刀

反り浅長寸幅広重ね厚。めったに無いレベルの豪刀。浅い樋。
少し流れる板目で肌目がよく出る。丁子や互の目で錵る。特に谷に凝り気味で刃中は大人しい。

一見して末の物と判断できるタイプだが、この大きさが全てを迷わせる。
今まで見た同田貫はどれも尋常な造り込みで「同田貫=豪壮」のイメージは無いのだが、錵の位置と刃の調子がどうもそれに見える。

同田貫上野介と入札。

 

二号 刀

反り浅。中鋒。互の目丁子。刃は低め。足が刃先に到達するタイプ。よく詰む肌。

この中鋒は多分以前出た事がある品だと思う。

固山宗次と入札。

 

三号 刀

反り浅め。重ね厚。先まで厚い。鎬高めで鎬幅広い。大変締まる匂い口の直刃。了戒程度の刃幅。刃中小足。
詰む肌だが白い大杢板肌が平から鎬地にまたがる。フクラの大きくつく鋒。

全く分からず。新々刀か現代か。
刃は靖国。姿は全く違う。が他が浮かばず。

靖廣と入札。

 

四号 刀

少し長め。大阪風焼き出しに複数まとまる互の目を規則的に繰り返す刃。

新刀祐定の典型作だと思う。

上野大掾祐定と入札。

 

五号 脇差

少し幅広で反りはそれほど深くない菖蒲。整う肌。小錵出来の互の目で若干角ばる互の目を1,2交える。

親国、播磨輝、兼若、国儔、どれにも見えてしまうが決めきれない。

六号との関係で播磨守輝廣と入札してみる。

 

六号鑑賞刀 肥後守藤原輝廣の薙刀。
肥後輝の正真実物は以前古研ぎで出て来た槍一口しか見た事がなかった気がするが・・・。もしかしたら平脇も見たか。
いずれにしても大変珍しい初代輝廣の作で拝見出来て頗る嬉しい。

 

 一号 イヤ
 二号 当
 三号 イヤ
 四号 当
 五号 イヤ

 

一号 迷っていたもう一方の人に入れてみる。 陸奥守大道と入札。
三号 こんなにずんぐりした姿は見た事が無いが思い浮かばずこれにする。横山祐包と入札。
五号 加州兼若と入札。

 
 
 一号 イヤ
 二号 当
 三号 イヤ
 四号 当
 五号 イヤ

 
一号 どうやら時代はOKだそう。
造り込みがあまりに違うので当たりにはならないと思うが、国広の日州打ちの長い物に共通するものを感じる。国廣天正打と入札。
三号分からず。堀井胤吉と入札。
五号越後守国儔と入札。
 

 一号 イヤ
 二号 当
 三号 イヤ
 四号 当
 五号 イヤ

 
鑑定刀

 一号 刀  若州住冬廣作
 二号 刀  備前介藤原宗次 固山見龍子宗次 元治元年八月日
 三号 刀  濱部美濃守藤原朝臣寿格 神茂知令鋭之 寛政三年辛亥秋八月日
 四号 刀  備前国住長船七兵衛尉祐定作 寛文二年二月吉日
 五号 脇差 和泉守藤原国貞

鑑賞刀

 六号 薙刀 肥後守藤原輝廣作
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全身押形刃文つながる

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鎌倉末期在銘太刀、佩裏の刃文がつながる。
表に合わせ色を濃くして行く。濃いなら濃いで良くなってきた気がする。
この決めきれない感じは研ぎの刃取りを浅く取るか深く取るか迷う時の心情に少し似ている。
研ぎの場合大体は深くが正解となるが、墨の濃さは濃くして不正解となる事も多い。
微妙というか絶妙な色と働きの省き具合が難しい。必ずやり過ぎる。
この感覚を根こそぎ捨てないといかん。



無題

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鎌倉末期太刀、佩表はほぼ完成。佩裏は元と先から描き始め中程がまだつながらず。
佩裏は全体に薄めで描いているが、この薄い状態の方が濃い表より断然よい。
墨は一旦濃く描いてしまうともう戻せない。戻そうと頑張って紙の繊維をボロボロにしてしまった事もあるが、何か方法はありますか・・・?