京のかたな 展示№174

IMG_0236
展示№174 太刀 銘(菊紋)山城守藤原国清 寛永十年二月日

京都市東山区にある新日吉神宮(いまひえじんぐう)所蔵の御刀です。

国清は山城新刀の堀川国広門で後に越前に移住しています。
この御刀は押形にみるとおり、一般的な新刀と比べ大変反りが深く、九分六厘の反りです。
新刀の中では「美しい反り姿」といわれる事の多い肥前刀でさえ、平均六分程度の反りですので、この九分六厘の反りがいかに深いかが分かります。
国清は直刃を最も得意とし、本作も匂深の中直刃を焼いています。
区際に水影風の焼き出し映りを見せるなど堀川派らしさもありますが、地鉄は完全に越前風であり、反り姿と合わせ古風な出来となっています。
その事からか、以前京都支部の入札鑑定会に使用させて頂いた時は多くの札が古刀へと入れられました。
国清の作品は比較的多く残されてはおりますが年紀作は稀有であり、奉納品としての特異な姿と合わせ貴重な作品です。



京のかたな 展示№59

定利短刀
京のかたな展、展示№59 短刀 銘 定利

国宝 太刀 銘 定利の隣に展示されている短刀の定利です。
定利在銘の太刀は例えば重刀指定なら十数振り程度で、普段頻繁に拝見出来るほどの数ではありません。
定吉となると更に少なく東博の品など極わずかです。
(重文に左文字一派として指定された定吉があり銘の書体が定利風で綾小路説もあったようですが、造り込みや鑢目その他諸条件から左文字一派でよいようです)
重刀指定品の中に在銘末行が一つあり、これも綾小路一派と見られる品です。
この末行とは少し書体が異なりますが、厳島神社にも綾小路とされる在銘の末行が残されており、昔展示で拝見し二尺七寸を超えるその大きさに驚いた事を思い出します。また特保鑑定で在銘・無銘の綾小路末行を拝見する事が度々ありますが、いずれも定利と通ずる出来を見せています。

さて短刀定利、光山押形所載の品です。
この時期の短刀の現存品は粟田口派以外殆どありませんが、当時も短刀は多く造られたと考えられています。
しかしその現存率は非常に低く、今に伝わるこの短刀定利の資料性は頗る高いといえます。



京のかたな展 内覧会

IMG_0597
本日は29日から京都国立博物館で始まる特別展「京のかたな-匠のわざと雅のこころ ―」の関係者内覧会でした。
開会式は数百人程度の参加でしたが、内覧自体はどんどん人が増え、最終的にかなりの人数になっていたと思います。
全館”刀”というこの大規模な展覧会は京博始まって以来初めてとの事で、本当に凄い内容となっています。
私も研師として研磨や押形採拓その他諸々と、微力ながら関わらせて頂いてきましたので明日からの開催が本当に楽しみです。

展示中の品、展示No.100 長谷部国信の槍が、槍の性質上刃文が見え辛かったので押形をUPさせて頂きます(京博さんのお許しを頂いております)。
IMG_9774
槍や剣など鎬の高い造り込みを押形にすると展開図の様になり、実際の身幅とは全く違い、印象もまるで変ってしまいます。
それを避けるため、実際の見た目通りの輪郭で押形の採拓をしています。

展示リストでご覧頂く通り、凄まじい内容です。
是非京都国立博物館に足をお運びください!
出品作品リスト
京のかたな(みやこのかたな)