左近将監恒次

研磨記録、備前古刀の部に左近将監恒次を追加しました。
左近将監恒次(鎌倉時代末期)は現存希な品ですが何度か手に取らせて頂く機会があり、2016年7月の鑑定刀(銘、備前国住左近将監恒次)に出させて頂いた品、2013年五月の鑑定刀(銘、恒次)、また2014年5月に名物の鄙田青江恒次を拝見しました。
2013年の二字銘恒次は若干違う出来でしたが、鄙田青江、2016年鑑定刀、そして今回UPさせて頂いた左近将監恒次は大変よく似たものでした。
匂い口は少し沈み心ですが、大変よく錬れた地鉄に地斑映りが立ち、古雅で味わい深い作風です。(地斑映りに関しては鄙田青江が顕著です)
恒次は同銘が古青江にあり、備前の左近将監恒次と混同されて伝わった品も多く、名物数珠丸恒次(重要文化財)、名物鄙田青江恒次(重要美術品)も古青江恒次として伝わって居ましたが、近年の研究により備前の左近将監恒次の作である事が判明しています。



刀身と押形の展示

現在薬師寺にて「噂の刀展Ⅲ」が開催中です。(開催期間:平成30年2月8日(木)~4月8日(日))
同展にて先日二日間限定で名物 大倶利伽羅廣光(重要美術品)が展示されましたが、あわせて数年前に描かせて頂いた大倶利伽羅廣光の全身押形を大塚巧藝社さんのご協力のもと、同じく二日間限定で展示して頂きました。
観覧して頂いた皆さんからは、「刀身と押形の同時展示は難しい刃文鑑賞の助けになる」と好評だったようです。

全身押形の制作には大変手間が掛かり、各展覧会で全ての展示刀に全身押形を添える事は難しいと思います。しかしたとえ数点でも押形があれば、刀身と押形を見比べる事で、初心者には難しい刃文鑑賞も要領がつかめ容易になり、刀の鑑賞に慣れている方も手に取るより遥かに見辛い展示刀鑑賞の助けになるはずです。
ただ、押形には鑑賞の補助的役割以上の意味があるとも思っています。書籍等で本のサイズに縮小された全身押形は単なる記録資料という認識で見る人が多いと思いますが、刀身の実物そのままを写し取った現物の全身押形には、刀身の持つ魅力とはまた別の魅力を感じます。

 



久々に唐筆で

脇差の全身押形を描く。

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最初は近年使っている筆で描いていたが、途中から久々に唐筆に変えてみた。
こうやるのか~と、唐筆の使い方をやっと少し理解出来た気分。