フクレ

研ぎをやっていますとフクレの有る刀は頻繁に見るわけですが、焼き頭に有る事が多い気がします。
もちろん鎬地や平地にも有るのですが、比較的多いと感じます。
土置きをした時、焼きの頂点に成る所。その真下にたまたまフクレに成る箇所が有り、研ぎ減った結果焼き頭にフクレが出ると言う事も有ると思いますが、平地のフクレが焼を引っ張り上げて、その結果焼き頭のフクレに成って居る物も有る様に思います。
例えば比較的整った直刃調の刀(沸え出来が多い気もする)。 上手な刀工なのに妙な節や不自然に焼きが高く成った箇所が有り、その部分にフクレが出ている物を度々見ます。
中が空洞になっていてその部分がより急冷されますので土置きを超えて焼きになってしまうのでしょうね。
乱れ刃の時もフクレ箇所が焼を引っ張り上げた様に成った物も見ますのでそう言う原理だと思います。
しかし何らかの理由で研ぎ減った結果フクレが出て初めてこの不自然な焼きはそう言う理由か!と判断出来る物で、ちょっと焼きが高いからと言ってその下にフクレが有るとは限りません。 簡単には判断してはいけませんね。
そう、全く話は変わるのですが以前見た古研ぎ身、埋鉄が十数個以上ありました。
刃はしっかりした物が入っておりますが、全体に少しだけ雑な感じのする刀です。
こういう刀、ほんとによく見かけるのですが、焼き刃の中にも普通に埋鉄が有ります。
この手の刀は何なんでしょう..。  脇指しか見た事ないかも。尺9寸~2尺くらいのもありますか。
浅い埋鉄を多数しているのですがだいたい幾つも外れた箇所が有る。
埋鉄の手法が特長的で必ず↓これです。

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左が外れた痕で右は外れる前。外れる直前は三角形の埋鉄です。
詳しい技法は知りませんが、銘切りタガネの様な物でカンカン叩いて短冊状の鉄をサッと叩き込むと言う様な、非常に短時間で済む作業を行っています。
丸く彫ったりと手間の掛かる事はやっていませんので必ず短冊状の埋鉄です。
しかしかなり長い物も有り、5センチ以上になって居る物も見ます。
で、いつも完璧に色と硬さの合った、ある意味上手とも言える埋め鉄をしています。 そして焼き刃の中にも埋鉄が有る。
焼き入れの前に刀鍛冶自身、或いは埋鉄専門要員がその刀の共鉄を使って行って居るのでしょうね。 
それにしても焼入れでよく外れないものです。(刃以外は焼き入れ後に行っているのか・・。しかしタガネの奥まで埋めた鉄がよく馴染んでいる場合が多いので焼き入れ前かな?だとしたらそれはそれで面白い)
で、あまり作意の上がらない脇指が江戸時代に幾ら位で売られて居たのか分かりませんが、10個も20個も埋鉄をする手間を考えても、質の悪い鉄を使ったり雑な鍛錬で済ませて作刀する方がコストダウン出来たと言う事ですよね。
結構な規模の工房で大量生産的な事をやっていたのでしょうか。
所謂「奈良刀」的な物ですかねぇ・・。



研磨の教科書通りではダメ

刀のある部分について、誰に聞いても大体同じ答えが帰って来る研磨方法があります。(下地)
研磨の事が書かれてあるどの書籍でも、100%その様に書かれている事です。
しかしずっと以前から、絶対におかしいと感じていました。
たまに見る大変見事な研磨は、そう言う教科書の通りにして居るとは思えない。
と言う訳で、私も教科書通りにはして居ないのですが、何故そんな事が言われる様になったのだろうか…。
特に、昔の研ぎはそんな下地はして居ない。



ブログメンテナンスで

最近このbiglobeのウェブリブログの調子が悪かったようで、長期の集中メンテナンスが行われておりました。
その間書き込み等は不能だったのですが、閲覧はちゃんと出来て居たのでしょうか?!
不具合が多いブログですウェブリブログは。 アメブロが羨ましいなぁ・・。 しかしまた引っ越すのは大変ですのでここで行きますか。



昨日は大阪で刀を色々鑑賞。
珍しい品に出会えた。
研ぎ場にて、昭和50年代の現代刀を鑑賞。
大変勉強に成る研磨。 下地に関する考えを深められたと思う。
今日は所要で草津、貞豊刀匠の鍛刀場へ。 
独り炭切りの途中。  いいかげんじゃぁ出来ん仕事ですね、刀を造ると言う事は。
夜、研磨前に彫りの掃除。
昭和の彫り。 大変力強い彫り。

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梵字の中に油と打ち粉が固まった物が溜まっている。

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ざっと綺麗にする。

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しかし底には油の塊りが残る。
裏、肉眼では分かり難い程度にまで綺麗にする。

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素剣。

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かなり拡大すると隅には汚れが残る。

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