大倉集古館にて

現在東京の大倉集古館にて「第四回 新作日本刀・研磨・外装 刀職技術展覧会」が、2013年6月8日(土)から7月28日(日)までの日程で開催されている。
所謂「刀職技術コンクール」である。
私などは、「ただ出品させて頂きそして結果が届き、それに一喜一憂し、表彰式だやれ遠いの大変だなどとわぁわぁ言いつつ東京に行き写真集を買って喜び、さてまた来年・・」と言って一年が終わる。
今年は表彰式には出席させて頂いたが私用が重なるため後の懇親会は欠席させて頂き、その間の2時間を展示鑑賞とし即帰京(京都)した。
その2時間、落ち着いた気持ちで鑑賞しそして考える事が出来、良い時間であったと思う。
まずこの展覧会、若手から中堅そして高名な先生方まで、大変多くの刀職者が自らの時間を割き行動する事で開催に至っている。
目に見える部分だけでも、出品受付、審査等、展示作業、写真集撮影、表彰式一切、展示期間中の解説、撤収など、これら作業の多く(多くと言うか、ほぼ全てか)を刀職者自らが行っている。
文字にすると簡単に見えるが、これは大変な労力である。
その他私の様な一般出品者には見えない部分でいったいどれだけの時間が費やされているか、想像に難くない。
その様な展覧会に毎年出品させて頂く価値に改めて気付き、感謝し、この場に臨む気持ちを今一度考え直す事が出来た。
そして会場には、日々様々な物を捨て、一つの物を得る、それを真剣に取り組んだ人にしか出来ない”仕事”が並んでいると感じた。
私の出品刀は当麻。
一番好きな刀である。

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薩摩上げ

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薩摩上げに掛ける拵えの簡単な図面。
所持しておられる方は画家さんで、サラサラッと描かれたもの。
あえて”寄せ集め”の小道具を使っておられます。
よい拵えになりそうです。
さて”薩摩上げ”ですが、過去何振りか研ぎましたが今回のものは少し大振りです。
語源ははっきりしないようですが、「日本地図、江戸側から見ると薩摩は日本の切っ先部分であり、そちら側から切り詰めて短くし、短刀に仕立て直した物。 薩摩側から磨上げるので”薩摩上げ”」 という説が有力のようです。
要は折損品や刃切れの生じた太刀や小太刀を、銘をのこすかたちで短刀として再生したものです。
備前の古いところの薩摩揚げには重要刀剣指定品もあり、確認出来たものでは古備前正恒、古備前則重、一文字助真、長船景安がありました(他国の指定品の有無は不明)。
備前物は腰反りで、薩摩上げに直すと良い姿になる事から加工される例が多かったのかも知れません。
冠落しや横手を切るおそらく風、菖蒲風などの造り込みが有り、構造上帽子は焼詰めとなります(焼きが高く華やかな場合はその限りでは無い)。
因みに図譜の解説に「この形は鎌倉時代の備前物に限って見られる事がある」とありますが、実際には様々な国、時代の刀身が薩摩上げとして存在しています。
昨日は内曇を買いに。

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購入した11キロプラス倉庫にあった石を加工。
無筋の10万、15万の石が並んでいましたがなるべく安くおさえるため、筋物や形の悪い物、木っ端等で凌ぐ。
効けば良い主義です。
しかし趣味で研ぎをされる方のほうが格好の良い石を使っている事が多いです・・。



借りた本を

今日借りた本を読む。
刀の本ですが大変興味の有る内容が詰まっている。
さっそくAmazonで注文した。



今村押形

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今まで入手出来ずにいた今村押形(昭和二年発行 著者 今村長賀 編者 内田疎天 発行所 大阪刀剣会)が本日届きました。 記憶に有る刀を幾振りか見つけ喜ぶ。
長賀の文字が6,7割しか読めず・・。  
古文書に出会う機会は大変多いのですが、ふにゃふにゃ文字の候文も読めたら楽しいのでしょうねぇ。
話は少しそれますが、現代社会は色々なしばりが多くなり過ぎて表面上ぬるくなる一方ですな。 古い書籍にふれるたびに感じます。
藩政の時代以前は今とは全くの異文化で、かなりえげつない社会だったのでしょうね。

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昔描いた太刀押形への加筆が完了し、昨夜より新たに脇指全身を開始。
これから数振り全身が続く予定。