応永の

研場にて尚光脇指(鎬造り)を拝見。
尚光は南北朝末期から応永頃の備前刀工です。
在銘稀有であまり知られていない刀工ですので資料も少なく、「康光・盛光の先輩格では有るが有名工の代作者的存在」と言う人だそうです。
刃文は焼きが高く華やかで、一般的な応永備前ほど腰が開かない。
地は応永杢だが正系の応永地鉄のさらに上を行くのではなかろうか。
細微な地錵を一面に敷き、繊細な地景で杢が構成される。
その地鉄の延長に、応永杢がそのまま刃中の働きとなり、美しく整った深い小錵の刃。
なんでしょうこの凄い脇指は・・・。
研磨の方も、特に下地など研師のエゴを抑えた素晴らしい研ぎ。
仕上げ研磨を拝見しながら応永備前の研磨による変化の可能性を探っていましたが、やはり本質を越える事は出来ないであろうと私なりに納得した。
(手の掛からない研磨で悪い方へはいくらでも変化しますが・・。)
良い物は良いから良いのであって・・・あぁ、この書き方で書いて行くと何パターンになってしまうのか・・。やめておこう。
とにかく、こう言う最上級の品はそうそう有る物では無い。

前の記事

棟焼きの 2

次の記事

テスト