平成22年4月18日 京都支部入札鑑定

本日は本部より講師がお越しくださいました。
一号 太刀
 二尺四,五寸ほど。 腰反り。 ハバキから柄尻にかけてかなり振る。 
 重ね厚く、小切っ先。  
 棒樋。かなり浅い。しかし樋先はそれほど力無くはなって居ないのでもともと浅いのか、或いは減っても先が弱くな らない上手な掻き方なのか?(樋先を直したほど健全な訳でもない)
 板目肌立つ。 鎬から刃に垂れる様に乱れ映りが鮮明な形で現れる。
 小模様に複雑な刃でよく沸える。沸える部分は明るさが有るが総体に沈む。
 帽子判然とせず。欠けだして居るか。 ハバキ上2.5cmほどで焼き落とし。そこから水影映り。
一見して古伯耆の太刀です。 では誰かと個銘に行き着くほどの眼力は無い・・。 いつぞやの刀美に古伯耆真景が載っていたような・・。  
 古伯耆真景と入札
二号 太刀
 一号太刀と同じ位の長さ。 腰反り。 ハバキから柄尻にかけてかなり振る。
 重ね尋常。 小切っ先(ちょっと延びる)。 棒樋。
 一号太刀よりも少し反りが大人しい。
 板目よく練れて肌立ち気味で流れる(一号よりは落ち着く)。
 沸え出来の直刃。 刃中、特に下半よく働く。
 映りは見えず。鎬より上、樋中に映るか。
姿、地鉄、沸え出来の刃などから、一見して古備前。 匂い口の深さに少し寂しさを感じる。 
個銘に行き着くほどの眼力無し。 少し聞かない銘にしたいも何も資料を持たずに来てしまった・・・。
記憶の隅の隅に古備前保弘と言う文字を刀美で見たような・・・。
 古備前保弘と入札。
三号 短刀
 尋常な長さ。 強めの内反り。 重ね尋常。 肌、表、古研ぎ故肌立つも細か。 裏かなり流れる(研ぎ疲れと思わ れる)。  片落ち風の互の目(あくまで”風”)。 帽子地蔵風。
景光か兼光かな。 長船兼光と入札。
四号 太刀
 二尺三寸ほど。 幅広、鎬低、反り深く先まで。 身幅も先まで狭まらず。 中切っ先詰まる。
 古研ぎで地肌立つ。 よく映る(明るい映りで沸え映りと見て良いと思う)。
 中直刃。沸え付き刃中よく働く(逆足、滴状の足など)。 棟焼き無し。
 裏、横手下三重刃状に焼く。
一見して来。  二字国俊に入札。
五号 平脇差か。
 表、平造り。裏切刃。 反り付き先までよく反る。 三つ棟。
 表、広い樋の中に素剣を浮き彫り。 裏、梵字、鍬形、蓮台を重ねる。
 働く直刃。
 帽子ほぼ焼き詰め。
 地鉄に黒味は無し。
反りにかなり違和感を感じるも、越前鉄との見え方は揺るがない。 直刃にバサっとする部分と柔らかい匂い口で細かく足が入る部分がある。
 康継と入札。
 同然
 同然
 ヨク
 同然
 当り
三号は全く思って居ない人のようでした。 元重と入札。
 同然
 同然
 当り
 同然
 当り
 一号  太刀  安綱
 二号  太刀  備前国景安(古備前)
 三号  短刀  備州長船元重 正和五年紀
 四号  太刀  来国光
 五号  短刀  三条こかち 迫 なんはんかね
           越前国康継 本多飛騨守所持内
帰宅後、二号に入れた保弘を調べてみました所、一応古備前にも保弘はいましたが、普通は入れるべきでない銘ですね。 保弘の記述をどこで見たのかとあれこれ探しましたら昨夕届いた刀美に以前京都支部に在籍されていた師の記事で有りました!  それは「長船住保弘」と言う事です。 
 毎回ですがもっとちゃんとした根拠で入札出来なければいけません。反省。

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