京のかたな 展示№192
展示№192 脇差 銘(忠以花押)
姫路藩の酒井家二代藩主、酒井忠以(ただざね)の作です。
昭和45年の刀剣美術誌第164号によると、酒井家では忠恭、忠以、忠実、忠学、忠顕など歴代藩主が作刀を行った記録があるそうで、展示の脇差もその一つです。
この様に、皇族、公家、武将など刀工ではない人が打った刀を慰打ちといい、少なからず存在します。慰打ちの刀はおそらく殆どの工程を相手をつとめる刀工が行っていると考えられますが、中には展示№190,191の有功の様に作刀数などからも慰打ちの範疇を超えるような人もいます。
京のかたな図録の忠以刀解説中、後に琳派の絵師として活躍した弟の酒井忠因(抱一)も忠以とともに作刀を行った事が玄武日記に記載されており、昭和四十年代までは個人の愛刀家の手にあったことが確認されている旨記されていますが、現在その行方は分かっていません。
この貴重な酒井抱一の刀は刀美164号及び鑑刀日々抄(続)に部分押形があります。
刃長二尺三寸一分、反り九分、目釘穴二。
太刀銘で「於姫路忠因作之 天明二年二月日」と太鏨の草書銘。
平造りの越中守藤原貞幸の脇差と大小で紀州家伝来という事です。
この貴重な抱一の刀、今はどこにあるのでしょうか。