少数派ですね
刀に携る職業「刀職」。
刀鍛冶、彫師、鞘師、白銀師、柄巻師、塗師、研師など、一振りの刀を仕上げるには多数の職人の手を経ます。
刀職に就く人は例えば「学生時代、博物館で見た刀に魅せられて」「小さい頃から刀が好きで」などの場合や或いは刀職の二代目、三代目の方など、刀に興味が有る、またはそう言う道筋が有った方が殆どではないでしょうか。
過去にも度々書いたかと思いますが、私は単に就職先の一つとして刀職に就いた少数派です。
刀を見た事もありませんし興味もゼロの云わば”まっさら”状態で弟子入りしました。(高校三年の時郷里で、釣った鮎を売りに行った旅館で刀が有り、ほんの一瞬だけ見た事はありました。真っ黒い拵えに入った大磨上無銘幅広の刀。江戸期の拵えに入った南北朝の刀だと思う。そう言う品が田舎にはぽろぽろ眠って居ます)
もう23、4年ほどになりますか、研ぎ場で初めて見せられた刀、明治の月山貞一と大磨上無銘大切っ先刀(義景か)の美しさ、聞かされた値段の高さの衝撃は今でも鮮明な記憶です。
先日NHKで有名鮨店の大変高齢の鮨職人さんが言っていました。
「就いた仕事が天職だ」と。
何故研師になったのですか?とよく聞かれますが、単に就職先の一つとして就きましたと正直に言う事にしています。そして研師が天職だと思うとも言っています。
好きでこの世界に入りその職を続けて居る方は正に天職そのものだと思います。
しかし私も後発ながら、刀の魅力に付かれた一人です。
ただ、もしも刀職以外に就いて居たとしても、首にならない限りはその職を続け、天職だと言っている気がします。
就いた仕事が天職だと。