4月支部鑑定

今回は熊谷和平先生。
全部鎬造脇差6口。

1号 脇差
1尺7寸程度か。反り尋常。新刀互の目乱れ。半丸形。腰開かずリズムあり。地鉄少々弱め。直ぐに小丸。微妙に固く止まる。

分からんので津田助広初期銘と入札。

2号 脇差
同寸程度。反り深く中鋒延びる。足長丁子に直ぐ帽子。

典型的肥前の足長丁子だが、非常によく出来た刃で、丁子の各所を切り取って見ると古作に迫る良さがあり。
肥前に入れる事を躊躇してしまい忠綱の可能性を探ってしまう。そういう目で見ると砂流し風の箇所が見えて来た。
粟田口忠綱と入札。

3号 脇差
同寸程度。重ね厚く身幅もしっかりと有り、刃三つ角が張る。強く冴える地鉄に小錵深く直ぐ調の互の目。鋒詰まり気味で帽子先深く丸。

非常に良い江戸脇差。法成寺正弘と入札。

4号 脇差
同寸程度。横手下から少し身幅を狭め他の品とは違う姿。互の目で中程は上下二段になり上段は沸える。物打上二つ連れ。
横手付近焼き込み帽子少し深めで返り錵付き止まり太い。鎺上丸止め棒樋。鎺上の肌が少々荒い。

全く分からず。返りから三善長道と入札。

5号 脇差
同寸程度。直刃。匂い口帯状、2ヶ所にピョコ刃があり肥前の直刃。帽子焼き詰め風。

普通に見れば完全に肥前刀ですが。。悪い癖が出てしまい別の刀に見たくなる。
入鹿の事など | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区
このブログの通り。文珠金助重国と入札。

6号 脇差
同寸程度か。大乱れの肥前。(互の目の丸味やアブの目・谷に沸えこごり)

いつもの通り正広・行広の違い分からず。肥前正広と入札。

否にて候
否にて候
当たりにて候
否にて候
否にて候
同然にて候

なんだか全部悪い方に転がしてしまった。
1号三善長道、2号近江大掾忠広、5号武蔵大掾忠広に。
4号相変わらず分からず陸奥守包保に。

当たりにて候
当たりにて候
当たりにて候
否にて候
同然にて候
同然にて候

4号は江戸のようですが・・・。そういえばこの人はニコイチ刃だったか。上総介兼重と入札。

当たりにて候
当たりにて候
当たりにて候
同然にて候
同然にて候
同然にて候

1号 脇差 陸奥大掾三善長道
2号 脇差 近江大掾藤原忠広
3号 脇差 近江守法成寺橘正弘
4号 脇差 長曽祢興里入道乕徹
5号 脇差 肥前国陸奥守忠吉
6号 脇差 近江大掾藤原忠広

4号は乕徹か。。全く思いついていなかった。鎺上の荒い肌に気付いていながら。。
後で見ると帽子は激しいながらも完全に虎徹帽子。
で気付いたのだが、虎徹は他の脇差とは造り込みに明らかな違いがあるのかも。今度からそこに注目。
6号は近江大掾。この出来の近江大掾もあるにはあるが、そう多くはなく大変面白い。
名品が多数並ぶ鑑定会ももちろん勉強になり楽しめるが、今回の様にテーマを明確に絞った刀の選定が成された入札鑑定は一生の宝です。


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