再刃のこと
今まで何本の再刃に出会って来たでしょうか。20本や30本ではない事は確かですが、何本かは不明です。そして再刃と認識せずに出会った再刃刀もかなりの数にのぼるでしょう。もしかしたらそちらの方が多いのかも知れません。。
昨日の再刃短刀、差し表の腰から三分のニをざっくり窓開けしてみました。
地鉄はまだ分かりませんが、再刃で出る事がある嫌らしい錵映りは無く、詰んだ地鉄のようです。
焼き出し部に少々強くて太い地景風の働きが僅かに確認出来ますが、これは再刃で出現する事がある「チリチリした地景」に近い状態です。
刃は直ぐ調の湾れで、匂い口は沈み気味。柾気の働きが強く、古風な焼きです。水影は無し。
この窓開け部分だけを見て”再刃”と判断する人は少ないでしょう。私ももちろん再刃とは気づけないです。(切っ先付近は焼きが入らずです。おそらく差し裏は全体に崩れています)
では茎はというと、黒味が強く乾いており、この茎を見れば再刃と判断できます。やはり茎情報は大事なんです。
さてこの茎、よい鉄味に変える事は出来るのでしょうか。
鑑定書が付いて流通している刀でも、在銘無銘問わず、茎を加工している物は大量にあります。国指定の文化財にも茎を触っているなと思う物に出会う事はしばしば。
茎を触る理由は様々で、悪意の無い物ももちろん。
世の中色々あるわけです。