試す

2019年06月24日【ブログ】

古研ぎで数か所に深い錆が出ているが、全体には研ぎ上がりが維持されており、そして大変良い差し込み研ぎ。
この様な状態の場合、即錆び切りをしてしまうのはもったいなく、寸刻みに仕上げ方法を試す。
昔の上手な差し込みでも下地研ぎは至って雑。この様な例は多い。
因みにいつ頃の研ぎかは不明。おそらくこれを見る人の多くは幕末か明治の研ぎではないかと言いそうだが、やはり不明だと思う。
刃文は石堂そのもので、銘は正清。
どうやら銘鑑漏れの様だが、古い刀剣美術を調べると記載があり、寛文頃、岡山城下で作刀した岡山の郷土刀的存在であることが分かった。

先ほど書いた様に刃文は石堂そのもので乱れ映りもよく出ている。
この映りの出方はおそらく裸焼きではないかと感じる。
各種差し込み研ぎで20手ほど試したが結局元の古研ぎと同じ状態にもどせた場所は無し。
古研ぎ箇所は長年の打ち粉による手入れなどにより大変味わい深い状態となり、これを新しい研ぎで再現する事は非常に難しい。
継ぎ研ぎで古研ぎに合わせる事は日々頻繁に行っているわけだが、その場合部分研磨を行った箇所が綺麗に見え過ぎないように古研ぎに合わせ汚しを行う。
継ぎ研ぎで古研ぎに合わせる事と全体を美しく研ぎ上げ古研ぎの味わいを出す事では難易度が全く異なる。
全面に打ち粉ヒケが付いた様な状態でよいのなら再現も簡単かもしれないが、そうもゆかず。。

その後錆び切り。
見た目は石堂だが砥当たりは全く違い、恐ろしく硬かった。
これは内曇りに時間がかかる。

カマス鋒

2019年06月15日【ブログ】

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押形の鋒は若干のフクラが付き完全なカマス鋒とはなっておらず、”フクラ枯れカマス鋒風となる”と表現される状態でしょうか。
この押形の刀は実物を見るとカマス感が一段と強いのですが、押形にした時の横手位置がコンマ数ミリ低過ぎたか、それとも小鎬先の留め位置が微妙に低かったためか、或いは鎬がかなり高い造り込みで身幅が押形と現物で微妙に違うためか、またフクラのラインも微妙に違うのか、カマス感が少々薄れた押形になっています。

鋒の整形とは非常に難しいもので、「髪の毛一本で大きく変わる」という言われ方をする事がありますが、それは大袈裟ではありません。

猪首鋒やカマス鋒は文字としてはよく見かける物ですが、実際その様な鋒の太刀を研ぐ機会はめったにありません。

鍋島景光

2019年06月14日【ブログ】

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続けて彫のある短刀の全身押形を採拓させて頂きました。
鍋島家に伝わった景光の短刀に倣い、高橋貞次が作刀したものです。

表 元亨三年二月日 以余光鉄 備州長船住景光
裏 鍋島景光ニ倣ㇷ 源貞次 紀元二千六百一年八月日 彫同作(花押)
棟 為井内彦四郎氏作之

片切刃短刀で、表 樋中に素剣の浮彫、裏 孕龍。
この造りは、貞次が倣った景光元亨三年(重美)の八年前、来国俊正和四年の短刀(重美)にも見られます。
来国俊の彫りが後彫りでなければ、景光は来国俊の作に倣ったのかも知れません。(大本となる作は海老名小鍛治宗近と考えられるようです)
また、少し寸は延びますが肥前忠吉にも同作があり、特別重要刀剣に指定されています。

貞次作の本短刀は、紀元二千六百一年(1941年)の作刀年紀がありますが、鍋島家に伝わった重美の景光短刀は1940年、靖国神社遊就館で開催された「紀元二千六百年奉祝名宝日本刀展覧会」に出陳されています。そこで景光短刀を見て影響を受けたのか、または棟銘にある注文者、井内彦四郎が遊就館で見て注文をしたものか、興味は尽きません。

紀元二千六百年奉祝名宝日本刀展覧会出陳刀図譜景光掲載頁(国立国会図書館デジタルコレクション)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1139254/201
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1139254/200

(樋中の素剣の浮彫ですが、彫りの底まで硬く磨り写してしまったため、立体感の無い平面な彫りとして記録する事になってしまい、この採拓方法は正しくありませんでした。底に向かいグラデーションを付けるか、協会の採拓法が正しいと思います)

欄間透

2019年06月14日【ブログ】

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美濃の陳直(のぶなお・桃山時代)の短刀。
重ね9.3mm 柾目が目立つ出来です。
欄間透の彫りがあります。

彫り物のある刀は押形採拓に手間が掛かるため避けて来たところがありますが、この陳直は大変出来も良く、何より存在自体が珍しい陳直ですので押形採拓をさせて頂きました。

しかし欄間透である上に彫がかなり深い位置にあり、彫をあまり磨り出せず。。
以前初代忠吉の宗長彫の欄間透の押形をとらせて頂いた事があり、確認してみると三鈷柄までなんとか磨り出せていました。
http://kyoto-katana.com/wp-content/uploads/2014/05/rannmatadayosi3.jpg
もう何年も前なのでどうやって採ったのか覚えていません。。
今回は差し表にちょっと大きめの穴が空いてしまった。

小柄櫃

2019年06月05日【ブログ】

一昨日、研ぎ場の本棚の最上段の端に見慣れない小冊子を見つけ、背伸びして手に取ると初期の「大素人」でした。
何気にパラパラめくると、山銅鐔について書かれていました。
以前から、もの凄く気になっていたんです。

笄櫃が綺麗な洲浜型にならず、ちょっと歪で尖り気味、小柄櫃は角ばって細い。
このタイプの櫃穴の鐔は室町末期から桃山期の物だと聞きます。
しかしその頃の小柄は彫が高く豊かな肉取りの物が多く、この細い小柄櫃を絶対に通りません。

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私もそういう鐔を持っていますが、小柄櫃の幅を計測すると3.9mm。

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それ程肉厚でなく、しかも裏がこんなにべこべこの小柄でも通そうとすると、小柄櫃の幅は最低でも5mmは必要です。

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こちらは室町末期頃~桃山といわれる厚手の小柄。これだと最低でも8mmは無いと通りません。

このタイプの櫃穴を持つ鐔は本当に室町末期から桃山期の物なのか、ずっと気になっていました。
「法隆寺西円堂奉納武器」には西円堂に奉納された鐔の押形が多数載っています。この本を買った当時まず一番に鐔の押形にある櫃穴を確認しましたが、極僅かしかこの櫃穴を持つ鐔はありませんでした。
一昨日見つけた大素人の小論でも、西円堂の鐔にこの櫃穴を持つ物が殆ど無い事に触れ、内容の詳細は省きますが、このタイプの鐔はもっと古い可能性があるとの見解が示されていました。

この細い小柄櫃を通る小柄小刀はどの様な物なのか、頭には漠然と「鉄の共小柄」というものが浮かんでいました。
具体的には姫鶴一文字に付いている梅の透かしの共小柄です。(共小柄とは、小柄と小刀が繋がった鉄で、一体になった物をいます)
ちょっと気になり、「打刀拵」を開いて確認を・・・。
なんと小刀には「国助」の銘。白黒写真ですし、意識も薄かったので気付いていませんでした。
解説にもちゃんと書いてました。 銘、国助。「小柄は江戸時代に添えたものである」と。
全然違ったのですね。
同種の小柄が上杉の高瀬長光にも付いていますが、この小柄の透かし部分が折損しており、その傷んだ雰囲気の写真から私が勝手に古い物だとの印象を強くしてしまっていました。(この小柄も江戸時代の物との解説でした。銘、元利)

またたまたまですが、今日届いた「刀鍛冶考」に「小柄小刀私考」。
ここまで残って居ないなんて、”こつ然と姿を消した”くらいの印象なのですが、結局は消耗されて残っておらず、僅かに出土品として確認される程度のようです。
それにしても、大量にあったであろう品でも、こんなにも残らない物なのですね。
不思議で仕方ない。

一号 刀

少し反りが強め。大互の目で匂い口深い。尖り刃が少し。三品帽子ではない。
肌がよく出る。

互の目の形や匂い口の雰囲気から山城新刀だと思うが堀川系ではない。
三品帽子でなないが、尖り刃が2,3個あるので三品系じゃなかろうか。2代か3代の伊賀金の互の目に見える。
伊賀守金道と入札

 

二号 刀

直ぐ焼き出し。
よく詰んで美しい地鉄。ある程度リズムのある湾れや互の目。

私があまり分からないタイプの刀・・。分からないので越中守正俊と入れてみる。

 

三号 脇差

新刀。匂い口の深い互の目。鎬高。
これまた難しい。

高井信吉と入札。

 

四号 刀

丁子。荒錵がつく。総体に板目流れる肌だが刃寄りが無地風に詰む。その地肌の境目が明瞭。
横手下から大きく丸い帽子。
丁子の形からこれだと思う。

浜部寿格と入札

 

五号 太刀

細身。大変よく詰む地鉄。締まる直刃で小足。所々硬く感じる節あり。
地斑風の乱れ写りが鮮明でかなり低い。明瞭に三作帽子で佩表返りごく浅い。
この少し節ばる直刃と明瞭な三作と浅い返りと低い位置の地斑風乱れ映りはよく覚えている。

長船助長と入札。

 


通り
イヤ
イヤ

 
二号、これかも。越後守包貞と入札。
三号、全く分からない。違うと思うが刃文は似ているので、上総介兼重と入札。
四号、荒錵は見た事が無いが、絶対当たりだと思っていたので困った。何度も見ているとこの刃文にも見えて来る。河内守国助と入札。
 

国入
イヤ
イヤ

 
二号 助直
三号 畿内、東海道がだめ。今思えば三善長道を忘れていたが、この時は信濃大掾忠国と入札。(結局長道でも外れだが、その方が良い札だと思う)
 


イヤ


 
一号 太刀 銘(菊紋)近江守源久道
        延享二年乙巳二月日
二号 脇差 銘 津田近江守助直
        天和三年二月日 江州高木
三号 脇差 銘 江州住人佐々木善四郎源一峯
四号 刀  銘 於東都加藤綱俊
        天保三年二月日
五号 太刀 銘 助長(長船)

この日の出題刀は私のように雰囲気だけで入札鑑定をやっているのでは当たらない、ちゃんと勉強しなければ当たらない問題でした。
入札鑑定は楽しいです。
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