『本能寺刀剣展』開催

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京都、本能寺にて「本能寺刀剣展」が開催されます。
私も本能寺さんの所蔵刀剣の研磨や押形採拓などのお手伝いをさせて頂いております。

『本能寺刀剣展-寺宝刀剣・堀川國廣・河内守藤原國助初二代・河内國平一門-』

期間:2018年4月28日(土)~6月3日(日)
時間:9時00分~17時00分(入場は16時30分まで)
場所:本能寺大寶殿宝物館(京都市中京区寺町通御池下ル下本能寺前町522)
※宝物館入場料あり
主催:法華宗大本山本能寺 刀剣MERPプロジェクト
協力:大塚巧藝社 studio仕組

詳細はstudio仕組ホームページをご覧ください。



塗り鞘の割り修理

出先にて来国行在銘太刀、古青江等を拝見。
古青江と古備前はよく似たタイプの錵出来のものがあり、大変明るい刃が多い。
しかし例えば鍛えが強く大変美しい皮鉄が無くなり、疲れた地鉄になっていてもあの焼き刃はそれほど下がらないし錵の明るさも衰えない。時代が下る刀は焼きがどんどん低くなり、染みて弱くなってしまうのにそこが不思議。

割った塗り鞘があった。
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東博図録「打刀拵」、厳島の西蓮拵や雲次拵の解説に「残念ながら鞘を割って修理をしている」という解説があり、見え辛いが写真にもその状態が確認できる。何故そんな事をしてしまったのか?とずっと疑問に思っていた。
今日拝見した鞘、鐺と鯉口の角を外し、棟側と刃側を漆ごと鉋で削っている様に見える。
これもやはり割修理の痕ではなかろうか。しかしなぜこの様な事をするのか理由が分からない。
特に厳島の拵えの様に貴重な品ならばなおさらで、わざわざ割って中を綺麗にするよりも、その拵えに刀身を納める事は諦めて保存につとめるべきと思うが、それをした当時は貴重という判断では無かったという事か。それにしても、その後漆を塗り直すでもなくそのままの状態なのでなおさら不明(塗り直していない事は幸い)。
刀身が拵えに納まったまま錆び付き抜けなかった物を割り鞘をして抜いたのだろうか。



出先にて

記憶の鮮明なうちに。

先日某所にて
・13年ほど前の支部鑑定刀に出会う。大和では無いが完全な大和風。数ヵ月前に見た刀を数分見ても気が付かない様な事もたまに起こるが10年以上経って居ても1秒で思い出す事もある。
・鎌倉中期重刀、よく錆びている。
・南北重刀、良い姿。薄錆。
・南北重刀、大変面白い。

昨日某所にて錆身複数拝見。
・大磨上げ。身幅広く刃寄り柾、平板目。映り気。広い樋。茎重ね大変厚く渋い茎反り。小錵細直ぐ刃。刃縁少し働く。元来は細目の中直刃。
三池、法華、古三原、手掻、色々考えられるが味わい深い名刀。
・古い研ぎが大変上手く、抜群の地鉄。細目の中直刃。よく働き冴える。どこに極まるのか。裏の帽子が深い。反りが浅すぎかなぁ。これは難しい。鎌倉と見たいが新刀という見方も出来る。こんな事を書くと「はぁ?」という感じしょうが、そんなもんです。
・大磨上げ無銘。中直刃。錆と強いヒケで分かり難いがおそらく来国光か国次。大変良い刀。
・大磨上げ無銘。薄錆身。茎から腰の始まりにかけて腰反りを残し、茎尻を持つと大変力強く美しい反り。ちょっと久々にこの反りを持った。
精微で完璧な地鉄。乱れ写り鮮明。片落ち風。兼光か。

本日某所にて
・鎌倉重文。名物。想像以上に重い。
・鎌倉末乃至南北在銘重文。不意に鑑定に出たら新刀から考え始めると思う。
・鎌倉重刀上記の親。刀にはたまに突然変異が起こる。
・南北無銘重文。もう一つ上の人に見えた。重い。
・鎌倉中期特重。やっと手に取れた品。桁違いの出来だった。
・無冠鎌倉初期。早く発見されていれば重文になってる。
・鎌倉末期重刀。これは本当に素晴らしい。今日一か。
・南北短刀。特重か、未確認。これが今日一だった。
・鎌倉末期特重だろうか。銘鮮明。大変重ねが厚い。今まで手に取ったこの工の作品では重文よりもこちらが鮮明な銘。
・鎌倉末期重刀。この工は比較的在銘が多く鮮明な銘も度々見るが、これは一段と鮮明で全く傷まず新刀レベル。
・鎌倉期重刀。数口手に取った事が在るが、いずれも同様に渋い出来。
・末古刀重刀か。典型作。良い地鉄。
・慶長重刀。この工初代は以前から好きだが、本日の品が過去拝見した品の中で一番だと思う。



薩摩上の原形

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薩摩上げの原形復元想像絵図を描いてみました。
以前のブログで薩摩上げの語源について何かの本に書いてあったことを載せた事がありました。
『語源ははっきりしないようですが、「日本地図、江戸側から見ると薩摩は日本の切っ先部分であり、そちら側から切り詰めて短くし、短刀に仕立て直した物。 薩摩側から磨上げるので”薩摩上げ”」 という説が有力のようです。』と確かこれは本の通りに書いたと思うのですが、実は書きながら、何かおかしいなと思っていました。
今回この押形を描きながら思ったのですが、この文では不十分ですよね。
江戸から薩摩方向を見てそちらが切っ先で、その方向から切り詰めるので薩摩上げ。
江戸から会津方向を見てそちらが切っ先で、その方向から切詰めて会津上げとは言わないです。何故薩摩なのかが重要なのでしょうね。
刀剣美術の昭和40年、第98号、佐藤寒山先生の「さすが(刺刀)のこと」を改めて読んでみると、”薩摩上げ”の呼び名はそれほど古くはないようだという事が書かれてありました。
この造り直し自体はおそらく古い時代から存在したと想像しますが、それを薩摩上げと呼ぶ様になったのは薩摩を強く意識した江戸末期の事だったのかも知れないですね。



特別展 奈良の刀剣 ー匠の美と伝統ー

奈良県立美術館にて特別展「奈良の刀剣 -匠の美と伝統-」が開催されます。
会期は2018年4月21日~6月24日まで。

会期中、河内國平刀匠、月山貞利刀匠、金田國真刀匠、月山貞伸刀匠の講演や対談があります。
詳しくは下記リンクよりチラシをご覧ください。
奈良の刀剣 -匠の美と伝統-1
奈良の刀剣 -匠の美と伝統-2



特別展 奈良の刀剣 ー匠の美と伝統ー

奈良県立美術館にて特別展「奈良の刀剣 -匠の美と伝統-」が開催されます。
会期は2018年4月21日~6月24日まで。

会期中、河内國平刀匠、月山貞利刀匠、金田國真刀匠、月山貞伸刀匠の講演や対談があります。
詳しくは下記リンクよりチラシをご覧ください。
奈良の刀剣 -匠の美と伝統-1
奈良の刀剣 -匠の美と伝統-2
そして4月30日には1階ロビーにて奈良の研師 関山和進師さんによる研磨実演が行われます。
以前のブログ、最後の方に少し出て来るのがこの方です。



特別企画展「兼定 刀都・関の名工」

岐阜県博物館にて開催予定の特別企画展「兼定 刀都・関の名工」、開催まであと2週間を切りました。
本日より展示設営開始です。
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多数の兼定・兼㝎が並びます。
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(画像はPR用に撮影させて頂いたもので、会期中は撮影禁止となります)

また、関鍛冶伝承館では「美濃の名工兼元」展を同時開催。
詳しくは下記をご覧下さい。
http://www.pref.gifu.lg.jp/event-calendar/c_27202/300322kanesada-goudou.html
http://www.pref.gifu.lg.jp/event-calendar/c_27202/300322kanesada-goudou.data/300322kanesada-goudou.pdf



「京都刀剣まつり」開催!

今年も京都刀剣まつりが開催されます!

第22回 京都刀剣まつり

日程

5月2日(水)午前11:00~午後4:40
  3日(木)午前 9:30~午後4:40
  4日(金)午前 9:30~午後4:00

場所

 京都市勧業館(みやこめっせ)B1特別展示場

会期中、演武、試斬会、甲冑・刀剣初心者講座、甲冑武具展示・着装解説、銃砲刀剣研究会による審査など、様々な催しがあります。
詳しくは下記チラシをご覧ください。

toukennmaturi

 



「京都刀剣まつり」開催!

今年も京都刀剣まつりが開催されます!

第22回 京都刀剣まつり

日程

5月2日(水)午前11:00~午後4:40
  3日(木)午前 9:30~午後4:40
  4日(金)午前 9:30~午後4:00

場所

 京都市勧業館(みやこめっせ)B1特別展示場

会期中、演武、試斬会、甲冑・刀剣初心者講座、甲冑武具展示・着装解説、銃砲刀剣研究会による審査など、様々な催しがあります。
詳しくは下記チラシをご覧ください。

toukennmaturi

 



有成

先日博物館の研究員さんと話していて、有成の話に。
最近の刀剣事情(流行り)に全く疎い私は有成がここ数年話題の刀だと知りませんでした。
石切さんの石切丸が有成だという認識は近年辛うじて持っていましたが、今はそんな事になっていたのですね、ネットで見て初めて知りました。

有成は現存する品が極めて少なく、その一つが現在石切さんにある「太刀 銘 有成(再刃)刃長二尺五寸一分」で、重要美術品に認定されています。
重要美術品全集の解説に本間先生が「経眼した作品はこの太刀一振りである」と書かれていますし、平成5年の刀剣美術第438号、寒山刀剣初学教室の中で寒山先生が「有成の作刀は重要美術品に認定されている太刀一口より他に物がありません」と書かれています。

しかしそれより後、確か平成14年から16年頃、私が30歳前後のころですが、この重美の有成(石切丸)以外にもう一振り、有成の太刀が発見されています。
当時某所で白鞘入り古研ぎの太刀を見せられました。「どう思う?」と。長さは二尺四、五寸だったでしょうか。反りは少し異風だと感じた記憶があります。
古研ぎという事もありますが、あまり冴えた刃文ではなく、再刃の典型と見えました。思う事をその通り伝え、白鞘の柄を抜くように促され。。
刀身に比してかなり長い生ぶ茎。確か茎の反りもそのままで、茎尻もつまんで居なかったと思います。そして非常に鮮明な銘で「有成」と。
その後、この太刀は協会審査に出され「(再刃)」とした上で保存審査に合格しています。
通常協会審査では再刃の刀は不合格となりますが、著名刀工の在銘作中特に資料性の高い物は(再刃)とした上で合格する事があります。
例えば過去の重刀審査では、短刀 銘 国光(名物小尻通国光)、短刀 銘 国光(新藤五、片切刃造り)、短刀 銘 行光(名物不動行光)、脇差 無銘(名物獅子貞宗)、太刀 銘 近村上(ちかむらたてまつる)などの合格例が。
あの有成の太刀、その存在を知られぬまま眠っているのは惜しい気もします。