日刀保京都府支部 3月入札鑑定会

先日は支部例会でした。
今回は私が当番と言う事で、5振りの鑑定刀をそろえさせて頂きました。
また京都府支部所属、北川正忠刀匠の平成28年新作名刀展優秀賞受賞作を鑑賞。作刀のお話などをお聞かせ頂きました。

鑑定刀

一号 太刀 銘  正恒 (古備前 特別重要刀剣)

二号 薙刀 銘  伯耆国住広賀作 天正六年二月日

三号 刀 無銘 (金象嵌銘)兼光 附本阿弥光常折紙 (重要刀剣)

四号 短刀(両刃) 銘 備前国住長船与三左衛門尉祐定 大永二年八月吉日

五号 刀  銘 (折返銘)為次 (古青江 重要刀剣)

鑑賞刀

平成二十八年 新作名刀展 優秀賞受賞作
太刀 銘 北川正忠作之 平成二十八年三月日 (刃長 二尺四寸五分)

正恒は完全な生茎在銘。美しい地鉄に華やかな刃文を焼き、乱れ写りが鮮明に表れています。
広賀の薙刀は大変珍しく、伯州廣賀刀押形聚によると同書掲載の薙刀を唯一としており、もしもそれ以降発見が無ければ今回の薙刀は二振り目の新発見という事になるかも知れません。
兼光は伝来もよく、地鉄の美しい延文兼光の典型作で、多くの方が一札で兼光と当たりを取られていました。
与三左衛門尉祐定は度々見る両刃の中では少し大振りな部類に入り、美しく詰む地鉄に華やかに乱れる刃文を焼きまた茎の保存状態も頗る良く銘字も鮮明です。
為次は折り返してはおりますが、国宝”狐ヶ崎”ほか数振りしか残っていない貴重な在銘作。

この度もこの様に貴重な御刀をご提供くださいました皆様には、心より御礼申し上げます。
誠にありがとうございました。
兼光全身
三号 刀 無銘 (金象嵌銘)兼光 附本阿弥光常折紙 (重要刀剣)



外出

支部鑑定刀の準備のためお出掛け。
殆ど外出していなかったので気づいていませんでしたが、もう春だったんですね。
今年の京都は着物姿の女性が大変多く、街を華やかにしています。いいですね~。
私の感覚ですが、例年の数倍、5倍10倍くらいに感じるほどです。
正直、安っぽい発色やなぁ・・って思っちゃう着物ですが、そんなに高い着物を貸し出す訳にもゆかないでしょうし。。
ただ、京都の人は色々思っちゃってるでしょうけども。そんなぺらぺらのん着てよー歩かんわぁって。
私は単純に華やかで好きですが、あちこち気が散って大変です。
今週あと2件のお出掛けで5振り揃います。



日刀保京都府支部2月例会

2月某日、支部入札鑑定会。

一号 太刀   銘 長光(伝平安城 時代応永頃)
二号 脇差   銘 波平清安(折り返し銘)
三号 刀    銘 波平安信作 二月吉日
四号 両刃短刀 銘 備州長船勝光(年紀入り)
五号 両刃短刀 銘 長州住玉井刑部左エ門尉二王方清 寛文十二年八月吉辰
六号 両刃短刀 銘 吉次(鞍馬関)

今回は判者さんが4~6号をお集め下さり、私が1~3号をご用意させて頂きました。

平安城長光は吉井、出雲道永、宇多、関、尻懸後代などなど、選択範囲がかなり広い出来で大変悩む品だと思います。
波平清安は大和本国、当麻や手掻、或いは千手院などと見たくなる上質な出来。
安信も大和本国と見たくなる造り込みと地鉄の明るさ。
勝光の両刃短刀、まずはこれが入る事で後の2振りを分からなくする。
二王方清、私は入札をしなかったので帰宅するまで古刀だと思い込んでいて、銘文の問い合わせをして初めて新刀だと知りました。
鞍馬関吉次両刃短刀。これはちょっと反則の域に達する程の難問です(笑)

今回は難問中の難問が並び、脳内のカロリー消費は増え、ストレスが重くたまる会となったかも知れません。
しかし普段ふれる刀の世界にはこういう難問がいっぱいで、教科書通りの品ばかりではないですよね。
”日本刀大鑑”は確かに勉強になりますが、支部鑑定会には”刀剣銘字大鑑”をめくる様なわくわく感があり、私は大好きです。

 



無題

ずっと下地研磨が続く。こういう状態の時は外に出る機会は極端に減り、半月~一ヵ月半ほど、ごく一部の日を除いて毎日数十メートルしか歩かないと思う。
体にも心にも悪い。