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よい石華墨を

2016年10月18日【ブログ】

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在銘の末保昌。珍しい品です。
時代を超えて続く流派は多くはありません。保昌も末になると殆ど見ずです。
理由を考えると幾つか上がります。 一時は色々大変だった事でしょう。物事とはそういうものですね。

支部会の時、白金師上野さんから石華墨を頂戴しました。
以前から話には聞いて居た物ですが初めて使います。(上の末保昌は別の石華墨)
説明書きに「二十年以上前まで販売されていた最高品質の石華墨を可能な限り再現しております」とありますが、その言葉通りの品です。
ありがとうございました。

日刀保京都府支部10月例会

2016年10月17日【ブログ】

府立文化芸術会館にて例会。

午前、有志によるミニ鑑賞会。
忠綱、盛光等メジャーどころから、普段はあまり聞き慣れない刀工銘だが大切に受け継がれた刀、自作の拵えを掛け楽しみながら愛でる刀など、多彩な内容。
支部長からは両刃短刀の上限年紀について度々きかれる説に一石を投じる内容を実刀を以って解説していただく。

午後、入札鑑定会。

 

一号 刀

反り非常に浅い。二尺五寸弱ほどあるか。切っ先延びず。新刀。総体に焼き高く華やか。刃中大変よく錵える。
親国の匂い口。

親国貞と入札。

 

二号 脇差

鎬造り。寸詰まる。ハバキ上で丸留め棒樋。切っ先延びる。反り浅く寸詰まるも美しい姿。
焼き低く、湾れに互の目。帽子尖り特長的。匂い出来で深い。地詰み気味で板目混じり。
良い研ぎ。刃中の艶やかさが凄い。効く刃引きを弱力で丹念に引いているのか。保管に油を塗っていないためか全体にその態の曇りがあり惜しいが元は絶妙の内曇によるナルメの明るさも栄えていたと思う。

国広と入札。

三号 刀(太刀?)

反り少し深め。棒樋。互の目と丁子。房しっかりと。少し白い肌。全体によく映る。部分明瞭に乱れ映る。肉落ち総体に刃少し潤む。腰少し硬め。横手下広直調、帽子古調。
角度により足がよく見える。

石堂是一と入札。

 

四号 脇差(片切刃)

短め。反り少し強め。表切刃、裏平。詰み気味。匂い口絶妙に小錵。地刃明るい。

一号と同質の刃。親国貞と入札。

 

五号 刀

短め。鎬高。だが優しい印象。美濃系の雰囲気の刃文。よく詰む地で明るさを持つ。物打付近は絞まるが総体に小錵。(基本的に焼き頭方向が錵え谷付近が匂い出来)。

難しく迷う。小ぶりで美濃風。金道の美濃風とは地鉄と姿が全く違うが他の選択肢が出ず。
初代金道と入札。

 



イヤ

三号 福岡一文字と入札
五号 出羽大掾と入札





同然

 

一号 刀  銘 和泉守国貞(真改国貞)  重要刀剣
二号 脇差 銘 国広(堀川)
三号 太刀 銘 一(福岡一文字)重要刀剣
四号 脇差 銘 於大阪和泉守国貞作之
五号 刀  銘 和泉守藤原国貞

 

一号、後で気付いたが、十年少々前研磨させて頂いた真改國貞に大変近い。研磨記録
おそらくかなり近い時期の作刀と思われる。地刃の質が大変似るが、ヒョコッと飛び出る小さい刃も全く同じ。これを刃取りで切るべきか切らざるべきかと悩んだ末、切らずに刃取った記憶があるが今ならどの選択にするだろうか。
以前研磨コンクールで見た「肥前国住武蔵大掾藤原忠廣」や現代刀「岸昭吉作」の研磨。私の目指す刃取りの完成形がそこにあったが、互の目をあの様に大胆に切ってしまう刃取りはあまりに衝撃的過ぎた。私には未だあの様な刃取りが出来る兆候はない。
五号親国、後で思えば四号の差し裏と同質な地の明るさ。一尺三、四寸と短寸な鎬作りで反り深の脇差や、本刀の様に短寸で優しい姿の刀が親國には度々見られるが、それと素直に結び付けられれば当てられるかも知れない。これも後で気付いたが、五号の小錵部は1、4と同質。

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ひらたい

2016年10月12日【ブログ】

このブログは面白くないそうです。
そりゃまぁそうですよ、言いたい事をガンガン言って戦う人間力なんて持ちあわせてないです。。
日々ある事の100分の一も書いてないです。
刀関連の皆にウケる事を書こうとも思っていませんし、あえて外そうとも思ってないですし。
あぁ、、いらん事を書いてしまってますねぇ。。 まいっかぁたまには。

山鳥毛

2016年10月06日【ブログ】

国宝 無銘 一文字(号 山鳥毛)と山鳥毛拵。(”山てうまう”なのでサンチョウモウですよね?!)
数ある名刀の中でも、最も華やかな刃文としてあげられる一振り。そしてその拵えは助真拵等とならび、最も格調高い拵えにあげられる。
もう何年前になるのか、大分以前ですが貞豊刀匠と岡山県博に山鳥毛をみに行きましたが、あの厳ついインパクトは絶大です。
拵えも大変人気があり、写しと称する品を何点も見ましたが、あの姿を出せる刀身もそうそうありません。ヘタをすれば”今は鐔を外してるだけだよね?”という拵えになってしまいます。。
少し前、その山鳥毛を新潟県上越市が購入するというニュースが流れ、評価額は3億2千万円。
以前からよくきかれた値段より大分低いですし、あの山鳥毛が3億2千万!安い!などと勝手に思っていましたが、ここへ来て少々ややこしい事になっているという記事が。。 記事によると、上越市在住者の半数近くが購入に反対なのだとか。
そうですかぁ。難しいものなのですね。
純粋に里帰り的に望む人、単に刀剣ブームに乗じようとする人、様々交錯しているのでしょうか。
上越タウンジャーナル
(リンク先、右上検索欄より「山鳥毛」で検索できます)

「丹波の漆かき」

2016年10月04日【ブログ】

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研磨工程や砥石の撮影をしてくださったカメラマンさんが製作されたDVD「丹波の漆かき」をみさせて頂きました。
漆は様々な日本の伝統工芸に使われていますが、刀の世界にも欠かせない存在です。
私も普段から馴染み深いつもりで漆に接していましたが、実は何にも知らかったんですねぇ。。
国産漆、こんなに大変な作業工程を経て完成されているのですかぁ。
今まで度々、本漆販売のHPを見て来ましたが中国産と比べ明らかに高い理由がはっきりと分かりました。
何百年もかけて蓄積されてきた知恵と技術は凄いです。
それだけに、一度完全に途絶えてしまうと復活は難しいわけですね。
伝統産業には途絶えそうな技術が沢山あると思います。
現代技術によりレベルアップした事で古い技術が無くなるならまだしも、安くて中途半端なものが喜ばれる事で、最高の物が生き残れないというのはよくないです。

 

入鹿の槍、南紀真改、菊池槍

2016年09月28日【ブログ】

入鹿の在銘短刀と槍を拝見。
短刀は久々の再会。槍は初めて。
この短刀はやはり素晴らしい。繊細で上品。
一方槍は非常に武張った物。以前から押形では見た事があったが、誠に失礼ながら、ここまで良い品だとは思いもよらず本当に驚く。
地は保昌を少し柔らかくした雰囲気、錵は当麻、刃文の華やかさは千手院。
茎の保存もほぼ完璧。艶のある大変良い鉄味。入鹿を自らの郷土刀的意識で見てしまう私は、この深く強いタガネの個性的な銘振がたまらない。
鑑刀日々抄をパラパラしていて「熊野山住」と銘文にある入鹿を見つける。往昔抄で見て憧れていたが、現存の品に熊野山住の銘があったとは。

同日、南紀真改の刀と寸延びを拝見。
あまり知られていない刀工だと思うが、紀州の鍛冶。
大小ともに大変良い地鉄(実際は大小として存在するものではない)。
大の方は直刃で大変冴えた刃文。堀井胤吉の上出来を更に数段良くした様な雰囲気か。
この刀、研ぎが尋常じゃなく良い。普通の研師ではこの様には絶対に研げない。

菊池槍の押形をとる。全身で。在銘。
菊池槍は度々研がせて頂いて来たが、茎を切断し短刀に直した物が多く、ウブ状態の品はそれほど多くない。
いつ頃から発生した物かと思い少し調べてみたが、南北朝期の発生との説が多い中で、刀美626号「南北朝期大太刀についての一考察」に鎌倉後期に描かれたと伝える絵巻に菊池槍を持つ武人が描かれて居るとの記述があり、菊池槍は鎌倉時代には既に存在したのかも知れない。
現存在銘菊池槍の上限だが、刀美349号(昭和61年)「『菊池槍』考」に建武三年紀の品が菊池神社に収蔵されているとあり大変興味深い。(昭和47年刀美186号の時点では佐藤寒山先生がこの号の表紙解説の中で、「現存するものには室町時代以前の作と鑑せられるものはない」と書かれており、私もその様な認識で居た)
今回押形途中の菊池槍作者、銘鑑に二人。一人は正長頃。光山押形で確認したが銘振りが明らかに違う。今一人の方ならば正平。もしもこれに該当すれば、在銘最古に類する物なのかも知れない。
また、2014年1月の支部だよりに「延寿国時菊池槍」との記述がある。国時も代を重ねているがどの時代の国時か、気になる。