刀剣展図録の頂点

いつも大変お世話になっている方から正宗十哲展の図録を送って頂きました。
過去にあったでしょうか、掲載刀剣ほぼ全てがカラー全身像、そして全てに全身押形。
もちろん掲載の論文はすばらしく。
掲載刀剣全てに全身押形は、刀剣展図録史上初じゃないでしょうか。
過去あったのかなぁ・・・イヤ無いでしょう。無理でしょう。刀剣博にしか出来ない仕事です。
私が単に押形好きだからではなく、凄い図録です。
是非、写真と押形を合わせてご覧頂きたいと思います。
押形無しの図録とは、こんな凄い情報をすっ飛ばしている図録です。
ましかし実際、刀剣展毎にこんな凄い図録を作るのは無理ですよねぇ・・・。



諸々

年末から拭いがほぼ無くなっていたのですが、擂った物があったはずとのんびりしていて。
いざ探すと無くて、擂る。(メノウの方)
良い事は分かっている鉄肌なので気持ち多めに。

しばらく前に買ったブラジル産の磁鉄鉱結晶は驚く程にダメでした。
ただ、磁鉄鉱の種類によりここまで大きな違いがある事の確認が出来のが成果でしょう。
前から何度も繰り返している事ですが・・・。

刀鍛冶さんから某国産の磁鉄鉱を頂戴し、擂る。(磁製乳鉢の方)
良い結果を祈ります。

古研ぎの差し込み研ぎは何故にあんなに黒いんでしょう。鉄肌よりよほど良く効いています。
鉄肌なんでしょうか・・・。

脇差の茎と輪郭。
研磨や鑑賞では彫物は好みでは無いのですが、押形の時は結構好きです。
華やかで、これだけで気持ちは十分嬉しい。

昨日今日で短刀3口の全身押形を採拓。
1つは結構時間を掛けて、しかしかなり薄い色に。
あと2つは相州伝名作集の様にサリサリと。
実はサリリと描いた物もかなり好きです。

最近茶味の強い墨が好きでそれに切り替えました。
箱に昭和59年製と印字が。墨は古くなると良くなるとも聞きますが、40年、どうなんでしょか。
使い心地は非常に良いです。

末古刀下地。とにかく硬い。
この数ヵ月、古刀の古い所の窓開けを沢山やっていた影響もあるかもですが、にしても硬くて驚く。
砥石を当てずとも手に持つ瞬間硬いと分かる物がありますが、そのタイプです。
若干細身で重ねも薄めですが、ガチガチで反らず曲がらず。
こんなに硬い刀は実は下地の成形は簡単なのですが、前の研ぎが何故かベコベコのボコボコです。



明るさなど

京都国立博物館にて、調査研究のため某太刀の全身押形採拓を行いました。
京博さんでの出張採拓作業は何回目でしょうか。。何度かおこなっていますが、前回からはもう何年か経過しています。
この何年かの間に、私の目は光量が少ない場での押形採拓が厳しくなっていました。
京博さんの作業スペースは決して暗い場所ではないのですが・・・。
刀の刃文を見るライトに加え、手元の光量を上げないと描いている刃文が見えないです。
大覚寺さんの太刀「□忠(薄緑)」の全身押形採拓は大覚寺霊宝館の前室で、光量がかなり少なく苦労しましたが、ビデオライトを2台持ち込んでなんとか作業をこなしました。
かと思えば先日の「稲葉江」では非常に明るい場所で採拓をさせて頂く事が出来たのですが、自然光であったためか、描いている刃文の見え方が普段とは異なり苦労をする事に。光の量もですが、質も大きく影響してしまうようです。
研磨実演や出先での研磨でも、光の質が普段と違い非常に苦しむ事があります。苦しむというか、ほぼ見えない事も度々で。これは年齢・視力に関わらずですね。研磨で”見えない”という場合、鑑賞とはまた別次元です。刃文の働き、刃の明暗、地鉄のタイプ等々、そういう物は見えていますが、それらとはまた別種の物が見えない訳です。それでも実演などならこなす事も可能なわけではありますが。
そう考えると出張での押形採拓は研磨実演より遥かにシビアです。手元が見えなければ苦労しますし、刃文が見えなければ作業は不可能です。
次回また続きの作業がありますが、ビデオライトを持って行きます。