時代劇から

「東映京都撮影所」閑散の今 – Yahoo!ニュース
ちょっと寂しいニュースです。
過去に時代劇映画等のお手伝いをさせて頂き、松竹や東映の撮影所には何度も行きました。
映像作品はほんの少しのシーンでも一度関わると4回5回と撮影所に行かねばならず、結構大変です。
しかし私の様に年中研ぎ場に籠っている人間にとっては、少しの間だけですが日常とかけ離れた世界に身を置く事が結構良い刺激になるんです。
全ての事に気を使い駆け回っている助監督さんやボロボロになって働いているADさん達を見ると、まぁ色々と考える訳です。。
さて、そんな撮影所さんがピンチとの事。
コロナ感染者の減少で京都市内の観光客は激増中ではありますが、外国人観光客の姿はまばら。というか殆ど居ませんね。
ほんの数年前からは考えられない状況です。東映さんは海外からの観光客も重要な収入源だったとの事ですし、厳しいですよねぇ。。

時代劇映画を見ると、刀が欲しくなるんです。特にリアルな時代劇を見ると確実に欲しくなります。
人を斬りたくなるとかそういう事ではありません。そばに一口置きたくなるんです。(私特に研師ですので、刀は美しい物、美しく研ぎ上げる物。ティッシュペーパーですら刃先と直角方向に擦れる事を嫌うわけですから何かを斬りたくなる衝動など生まれようがありません)
民放時代劇ドラマが無くなりましたが、映画ももう無理なんですかねぇ・・・。
ちょうど昨日ですが、マーティンがあまりに器用なので「なんで?」と聞くと、小さい頃からスロバキアで木の日本刀やら鉄板の手裏剣やらを沢山作っていたそうな。侍movie、忍者movieが大好きなkidsだったそうです。






日刀保京都府支部入札鑑定会

先日、10月の支部例会が開催されました。昨年10月以来、ちょうど1年振りの開催です。

鑑定刀

1号 太刀  銘 助長(長船)  重要刀剣
2号 脇差  銘 武州下原住照重
3号  刀 無銘(真守)     重要刀剣
4号 脇差  銘 和泉守藤原国貞
5号 太刀  銘 一(福岡一文字)重要刀剣
6号 脇差  銘 於大坂和泉守国貞作之
7号 太刀  銘 備州長船兼光  重要美術品


1号 太刀 銘、助長


3号  刀 無銘、(真守)


5号 太刀 銘、一(福岡一文字)


7号 太刀 銘、備州長船兼光

1号助長は長光に近い立場の工人と思われ、よく詰む長船地鉄に長光晩年の様な直刃を焼いています。映りは刃に寄るタイプ。
2号下原は、寸がかなり延びる平身。匂い口の沈む小錵の乱れ刃。如輪杢にはなっていませんが板目杢目が肌立ち、光に透かした時の肌立ち具合が下原特有の出来。
3号真守は私には難しい出来で、消去法でも辿り着く自信はありません。。しかし先日ブログに書いた学生さんは守家に同様の出来を見た事があると仰っていましたので、経験を積めば見えて来るのかも。
4号親国、多数ある親国の中でも良く詰むタイプ。いつも通りの大変素晴らしい匂い口。
5号一文字は福岡。総体に詰んで綺麗な地鉄。何より「一」の在銘が貴重です。
6号親国、見応えの有るタイプの地鉄。いつも通りの大変素晴らしい匂い口で、互の目の沸えの着き方と中央部の抜け方がこれもいつも通り。
現代刀匠さんから研ぎをお預かりしたとき、この抜け部がコリコリと盛り上がる事を嫌い、抑えられないか?と言われた事が何度かありますが、やはり現代刀匠さんの視点レベルは高いです。現代刀匠さんのこういう見方はおそらく一般ユーザーは知らないと思う。
7号兼光。兼光の凄さは地鉄に有り。それを完全に現した刀です。



思い出しました

先日の押形が何かを思い出しました。
少しだけ頭の隅にあったのですが、まさかあの厳しい日程の中、描いている訳がないし・・・と、思いの中から除外していて。
あまりに時間が無い中で夜中に無の状態で描いたので物だけが残り記憶にはなかったようです。



入札鑑定

私は”鑑定至上主義者ではない”という事を一応先に書いておきます。
その上で、入札鑑定は楽しくて大好きです。
まずまず当たる事も多い方だとは思いますが大外しも頻繁で、結局当たるから楽しい訳ではありません。そりゃまぁ当たると嬉しいわけですが、外れても楽しめるのが入札鑑定で。
支部会に入った頃は多分、会の中で私が一番若かったはずです。
筋の良い入札や当たりだった時など、判者で当時支部長だった故生谷先生が本当に嬉しそうな笑顔で褒めて下さった事をよく覚えています。

コロナの影響で支部会が開催出来ない月が続きました。前回はちょうど1年前の10月。その時学生さんが入会されました。(若い方の入会はありがたい。もちろんご年配の方も大歓迎です!)
入って早々鑑定入札。若者を大事に思うベテランさん達が何やら色々とアドバイスをされている様で、ちょっと良い札だったりしつつ、その日は終了。
そしてようやく、1年振りとなる支部会が昨日開催されました。
その若者がまた参加して下さり、誰からのアドバイスも受けず完全にお一人での入札を。
その札は、鎌倉中期、中後期、末期、南北、新古境、寛永と全ての時代を的確に捉え、刃文鑑定だけでなく地鉄から位や流派を判断した素晴らしい物でした。 ”え?研師?!”って思っちゃいましたが、学生さんです。
凄過ぎたのでちょっと聞きましたら、「特訓して来ました」と。入札鑑定って特訓で出来る様になるんですか。。
単に刀個体の記憶の蓄積の場合、例えば初めて参加する会に行き、何度も出ている刀が複数出題された場合などは、会のベテランさん達に太刀打ち出来るものではありません(悪く捉えないでくださいm(__)m)。
しかしこの方の様な見方とセンスを以てすれば、初めての会でもビシバシ上位の成績をとっちゃう事が出来るでしょう。
生谷先生に会わせたい。