砥石の減り具合

の事は最近書きましたっけ? 書いた気もしますがどうだったか。。まいいか。

とにかく砥石は減らないに越した事はない。研磨の経験が増えれば増えるほど、砥石は減らなくなります。これは荒砥、中砥、内曇砥、どれも同じです。経験が浅いほど砥石は減ります。

不思議なもので、たとえ仕上がりの到達点が同じだとしても、砥石の減り具合は大きく違います。この減りの度合いですが、本当に驚く程の違いで。例えば細名倉でいうと、10年使えると思っていたら、2年で無くなる。内曇刃砥で言えば、私が8年使うつもりでいたら、1年で使い切ってしまう。こんな感じでしょうか。過去の経験上全てこの通りでした。こまめに面直しをするから減ってしまうとか、そういう事では無いですね。何故か無駄に減ります。



刃取りを

ここのところ多分40日中20日以上が刃取り作業でした(一口の刀ではありません)。

同じ刀で何日も刃取り作業を続けると、指が擦れる部分の地鉄の色が変わってしまう”ぼうず”と呼ばれる現象が起こるのだと度々聞きます。
私は指に”ぺんダコ”的な物が出来ない体質で、毎日どれだけ長時間磨き棒を使い続けても、毎日地艶や刃艶作業で指を酷使しても、中高生の時毎日毎日何時間もギターを弾き続けても、磨き棒ダコが出来たり、弦で指先が硬くなったりしないんです。そのせいでしょうか、”ぼうず”になった事がありません。
刃取りの時の刃艶の当て方がたまたま地鉄に指が擦れにくいやり方になってるのか、いやしかし結構指が擦れていますので、やはり指先が柔らかいんだと思います。
で気が付けば、多分今年で研ぎを初めて30年目、だと思います
30年間ずっとこんな生活で。。

以前、18歳からの内弟子8年間の記録を見ましたら、3年目以降は年間70口以上を毎年研磨していました(毎日16時間ほどは研ぎ台に座っていましたし)。
独立し上賀茂神社社家町で研磨をしていた6年間は、部分研磨の本数が爆増しますので、研磨口数激増です。
そして今の研ぎ場になってしばらくは研磨数さらに増。。
しかしその後は新作刀を研磨させて頂く機会が増え、全体の研磨口数はかなり減りました(この10年少々で新作研磨は180口程度かと思います)。
新作刀を研磨させて頂く事、それは研師の研磨技術向上につながります。新作刀研磨は学びの宝庫。
基本的な下地研磨から、いざという時の対処、時にはアクロバティックな事も。(新作研磨経験が浅い内は研磨開始数日で、これ以上何を行うべきかが見えなくなります。その見えなくなったまま仕上がってしまっている新作刀を見る事多数です。アクロバティックな事でいえば、例えば樋を掻く前提の刀なら、鎬地は何をやってもOK。平地に大きな傷が有る場合、鎬地に大穴が空くほど鏨を打ち平地に鉄を移動。結果平地は大きく膨らみますが、その鉄で傷を閉じ消去。その後無用となった平地の膨らみは押し取ります)

幸いこの30年、研ぎの仕事に飽きを感じた事は一度もありません。おそらく一度も無かったはずです。
そういう性格なのか、それともそういう仕事なのか、どちらかは分かりませんが非常に幸せな事だと思っています。
そしてこんなにも毎日研磨を続けていますが、指先の皮はふにゃふにゃのままです。。







研ぎ道具

数ヵ月前、ネットニュースに天然砥石の事が出ているよと、いつもお世話になっている方からご連絡を頂きました。私は初めて聞く砥石で。
砥石に限らずどんな道具でもそうですが、刀剣研磨での使用の可否は実際使わなくとも研師なら大体判断がつくものです。が実際は、使えそうだと思って使ってみると、刀の研ぎには向かない物が大半で。。という事は、ダメだと思っても実際使ってみなければそれは分からないという事ですね。
パソコンじゃないんだから、過去データをまとめてドンとインストールは出来ません。一つづつ学ばないと。
という事でいつも一応試して経験してみたくなるタイプで、今回も直ぐにメールで問い合わせをしていました。
あれから数ヵ月経ちましたが返信を頂戴し、お会いして試させて頂けることに。
刀の研ぎに合う(自分好みの)砥石なら非常にありがたい。


先日久々に上げ針(仕上磨用磨棒)を一本購入しました。
販売品には好きなタイプの物が何本かありましたが、完全に好みが一致する物ではなかったので、購入後先端形状を加工。
今日、試しに上げ磨きと化粧磨きに使ってみましたが、、全くダメ。 これはもちろん針が悪い訳ではなく、私の先端加工の形状が悪いんです。また作り変えないと。。
自分で使う道具なのに、自分の好みの物に作るのは微妙で結構大変です。
自分で使う道具だから、ですかね。






貴婦人と一角獣

今日も一日仕事を頑張りました。

かっこいいベース。

たをやめの岡村さんの様に明日からも執念の研ぎで頑張ります。