鐔を

ちょっと久々に鐔を出して眺めました。
四段箱で二枚づつ、計八枚。
お気に入りも変化しますので最初の揃いとは内容も変わっています。
久々に見るとやはり良いですね。改めて気に入ってしまいました。
天正風拵えの方は、柄直しに出して合計1年を過ぎました。
待っている間が楽しみですね。不安と楽しみとが同じ重さです。



鋸の引き跡

先日、蔵から出て来たという砥石を見せて頂きました(鳴滝付近から産出の砥石なのだと思います)。
以前も度々書きましたが、砥石の側面に手引きの跡が確認できます。
現在は丸鋸で切断しますので、側面には丸鋸の跡が斜めに残ります。この砥石の様に水平に引き跡が付くのは手引きされた砥石。
丸鋸に変わったのがいつ頃なのか私には分かりませんが、そんなに最近ではありませんよね。
手引き跡は古い時代に産出された証拠です。

大きく重い手引きの鋸。刃は真ん中に小さいのが付いています。
手作業。
一々凄いです。

過去ブログ↓
手引きの | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)
砥石が重石 | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)
天然砥石比較 89~100 | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)



棚を。

研ぎ道具は年々増える一方です。
日常の生活用品などは所謂「断捨離」で良いと思いますが、仕事道具にそうは思わないタイプです。
衣類などは○○年着ていない物は捨てましょう的な事を頑張って行いますが(頑張ってです(^-^;)、研ぎ道具の場合、”5年前に買ったあの石”とか、”10年前に誰々さんから頂いてダメだと思っていたあの研磨材”とか、”15年前に念のために取っておいたあの部品を応用できるかも”とか、”20年前に切って意外に硬かったあの茎”等々。今この時のために取っていたのだ!という活躍の時が割とあります。
あでも、スペースには限りもあり、例えば書籍などは置いておけずに処分する事もしばしば。
あの時のあの本があれば・・・という場面には結構あっちゃってますね。
活躍の時よりも、あれを残しておけば、、という後悔の方が多いか。。
だから余計に捨てられなくなるんですね。

物が増えて溢れた感じになると、研ぎでミスをしそうな気持になります。(あくまで自分基準です。他の研師から見ると十分雑然としているかも知れません。一方で仕事道具で溢れ雑然とした細工場への憧れも持っています。)
毎日髭を剃り作務衣を着ないと仕事が出来ないのですが、それと同じかも。
Amazonでお安いミニ食器棚を幾つか買って道具の整理をしました。
しかし。。ちょっと棚に納めたくらいで整然とはならんもんですな。。




2021年の

昨年も無冠の錆身から国宝まで、多数の名刀を研磨、または手に取り拝見する事が出来ました。
本当に沢山拝見しましたが、特に心に残る刀は・・・。
寸延長銘相州廣光(正平年紀)、在銘光忠太刀×2、在銘貞宗短刀(偽銘のはず)、無銘左文字刀、兼光太刀、無銘甘呂、祐定脇差、光世短刀、弘幸(堀川)×4、国徳(堀川)、奥州國次、この辺でしょうか。
中でも特にあげるとしたら、弘幸刀と国徳脇差。 
好みによるところも大きいはずですが、にしてもやはり慶長新刀は凄いですね。古名刀と同じ感覚で楽しめ、そして感動すら覚えます。
今年はどんな名刀に出会えるでしょうか。
弟子のマーティン君の如く純粋に鎌倉時代の人間の様な感覚(多分)で刀と関わってみたいと思います。