日本刀傳習録

先日支部会員さんよりお借りした。

 序文
日本刀は我國建國の神器にして古来日本人の道義の心を修め来たりたる霊器なり。故に刀に接するには心を以ってすることが根本であつて目視を以って接するのは従である。鑑刀は視鑑により之を心に導き心鑑によりて日本刀の道玄を味ひ得るものである。故に刀を愛する事は心で愛するものであつて五感の一つである眼でのみ愛する事は眞の刀剣美の鑑賞にはならぬものである。其刀の出来たる當時の原始の美。確眞の美は心鑑によりて深厚に味ははれるものである。
故に刀剣愛好者の心は平静にして極めて浄善でなくてはならぬ。此心境によりてこそ確眞美のある日本刀の心と一致し得るものである。
此信念を以ってする度重なる鑑刀は日本刀道玄の門に入り其堂に歩を進むるものと信ずる。
本傳習録は自ら顧みて全編意を盡さず愧つる所多きも愛刀の諸賢若し著者の心を幾何か汲み得られたならば日本刀の為に此上もなき福祥である。
 山岡重厚

まだ読んではいない。未だ大戦中の気風が強く残る書だと思うが、こういう心も持って刀を鑑賞すべきだと思う。



新年会 一本入札

支部新年会恒例一本入札(おまけで3工書いてもよいと言うルール)

 

一号 刀

反り大変浅い。少し長く感じる。鎬低め。大阪焼き出し。拳丁子。

二代国助以外選択肢は無いが一応弟も書いておく。

中河内・肥後守国康と入札。

 

二号 刀

反り大変浅い。少し長く感じる。鎬低め。京焼き出し風。互の目と丁子でよく錵る。
一号と全く同じ造り込みで刃文と錵が違う。 一号に比べ大変よく錵付く。
仔細に見れば特に裏に錵の中に国助風の房の大きい丁子が有る。

一号二号と兄弟が並んでいるのではなかろうか。あと錵ているので一応もう一人書いてみる。

肥後守国康・中河内・親国貞と入札。

 

三号 脇指

重ね厚め、鎬低い。詰む地鉄。互の目や湾れ。総体に焼きが高めで出入りはさほど大きくない。直に焼き出す。帽子は丸く中ほど若干湾れ気味。

少し向かい合う互の目も有り、大互の目涛乱風。 ヒタヒタと波打つ程度の部分は山が尖る。
なんでしょか。 正直苦手分野だが以前研磨させて頂いた信高との違いが見出せないほど似ている。

尾張信高・加藤綱秀・手柄山正繁と入札。

 

四号 短刀

平身。大変幅が広い。その為少し寸が詰まって見える。フクラ枯れ気味なのでズングリするが鋭い。
板目。匂い出来の互の目丁子。頭がムクムク丸い。帽子乱れこみ尖り気味に返る。腰焼頭に少し荒い錵。
生刃は無い。

吉原國家・固山宗次と入札。

 

五号 短刀

平身、細め、板目、重ね尋常。中から出た鉄は流れる。焼き出し映り風は有るが全体に白けは感じない。三つ棟。匂い出来の互の目に砂流し。表裏少し揃う。帽子長めに返る。
表裏に妙法を彫り分ける。

備前では無いと思う。
何度も見ていると、たまに見る小さい村正に見えてきた。

村正・之定・島田助宗と入札。

 



イヤ

 

一号 河内守国助(中河内)
二号 河内守国助(中河内)
三号 津田助直
四号 固山宗次
五号 相州康春

三号助直ですかぁ。そりゃそうだ。助直をすっかり忘れていて全く思いつかなかった。茎もすばらしい良い助直です。

その後宴会。毎年お腹いっぱいになる量が出ます。
二次会三次会と行ったので入札用紙を紛失した。

 



便利道具

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こういう小さなダイヤ系砥石は研師レベル程度に使うタガネには大変便利ですよ。
もしもまだの方は是非。



再会

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17~9年ほど前でしょうか、その頃研磨させて頂いた御刀に再会。
名門なれど名鑑に無い非常に珍しい刀(脇指)。
当時、確か煤けた古い白鞘に入っていたはずですが今は気の利いた拵えに入っていました。
この色合わせの妙、こんな写真では伝わらないですよね。
刀は、安く安くと進むとこういう物は出来ません。
家電じゃないんだから。
しばらく先ですがまた刀身をご紹介致します。