刀身の”ねじれ”

錆身が有れば、ほぼ8,9割の物は曲がっているものです。
真っ赤に錆びさせてしまう扱いを受けてきた物は数十年から百年程度の間に色々と斬っているのでしょう。(軍刀仕込み以外は”人”では無いと思います)
研ぎ上がって光っている物でも曲がって居る物は結構有ります。
研いだ後に曲がったのでしたら曲がりを直せば良いだけですが、研ぐ前から曲がって居た場合は厄介です。
曲がりを直さず研ぐくらいですから地ムラなどには関心を持たず研ぎ上げている訳ですが、その場合ある程度曲がりに合った肉置きになってしまっています。
そう言う状態の物に曲がり直しをするとムラを作ってしまう事になります。(きちんと研がれた刀が曲がってしまった場合、曲がった場所に大きなムラが出来ますが、曲がりを直せばそのムラもほぼ無くなってくれます。 しかし曲がったまま研いだ刀の場合、曲がりを直すとムラが出来ると言う事です。)
ねじれた刀身もたまに有ります。
ねじれてしまう理由は幾つか有ると思います。
研ぎで片減りさせて刃線が表裏どちらかに寄りねじれた様な状態に成る。
斬り損じ。
作刀時点でねじれている。
その他諸工作による後天的ねじれ。
などなど・・・。
以前ねじれた平脇指の下地を行なっておりました。
刃線が特にねじれてしまっています。
刀身の曲がりも含め平地棟角が飛び出しています。
その部分を伊予砥で少し押します。
刃線を確認するとねじれが戻り、むしろ若干逆方向に寄って居ました。
色んな現象が起こるものです。

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