本能寺大寶殿宝物館『五箇伝の名刀展』
本能寺大寶殿宝物館にて9月9日まで開催の『「五箇伝の名刀展」山城・大和編』の展示刀のご紹介です。
展示刀
1,太刀 来国俊(特別重要刀剣)
来派
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本阿弥光常折紙付
(鞘書)来国俊 正応比 磨上 二尺四寸六分 光常折帋付 重要刀剣 昭和五十四乙未年初冬 薫山誌(花押)
刃長 二尺四寸六分
反り 九分
元幅31.0(31.8)mm
元重7.3(8.3)mm
先幅21.2(21.7)mm
先重4.6(4.8)mm
茎最厚8.5mm
重量947g
鎬造、庵棟、身幅広く、重ね厚く、鎬高く、鎬幅やや広く、京反り深く、中鋒詰まる。
地鉄、小板目肌詰み、所々大肌混じり、地錵良く付き、地景微塵に入り冴え、佩表中程より、刃寄りに筋映り現れる。
刃文、錵付き、直刃調に小丁子、小互の目を交えて、所々に京逆足が見られる。物打ちから上部に棟焼き有り。
帽子、直ぐに先掃きかけて大丸風に短く返り、棟角の焼きへと繋がる。
茎、磨り上げて茎尻付近に三字銘。元ヤスリ切り(新ヤスリも切り)。目釘穴1(小さい)。
2,短刀 銘 来国光

刃長26.6㎝
反り内反り(ごく僅か)
元幅20.6(21.6)㎜
元重4.1㎜
茎最厚4.7㎜
金無垢台付二重鎺
刀身重量107g
平造り、三ツ棟、重ね薄く、身幅尋常、ごく僅かに内に反る。
地鉄、板目細かによく詰み、地錵付き地景入り、全体に淡く映り立つ。
刃文、よく締まる細直刃。腰元に金筋入る。
帽子、大丸気味に僅かに返る。
彫物、差表に素剣、裏に護摩箸を彫る。
茎、僅かに擦り上げ、茎尻一文字に切り、刃方も擦っていると思われる。
茎上半は新鑢で勝手下がり、下半元鑢切り。
目釘穴2、内1つ鉛埋め。下の生ぶ穴は長く歪になり、過半銀埋め。来国光の三字銘。棟角、刃方小肉。
脇差 銘 来国真(重要刀剣)

刃長35.7㎝
反り0.4㎝
元幅28.0(29.1)㎜
元重4.7㎜
茎最厚6.0㎜
金無垢二重台付鎺
刀身重量248g
平造り、三ツ棟(中筋広い)、身幅広く、寸延び、重ねやや薄く、反りつく。
地鉄、板目に杢目交じり、地景入り、錵映り立ち、一部地斑映り風になる。
刃文、浅い湾れに互の目交じり、差表フクラ下には丁子を一つ焼き、砂流し湯走りが頻りに働く。
帽子、表、直ぐに丸。裏、返りに錵筋入り先尖りごころ。
彫物、棟寄りに棒樋、差裏棒樋先端付近に連れ樋の痕跡あり。
茎、生ぶ、或いはほぼ生ぶと思われる。(茎幅は擦っている様)
鑢目勝手下がり。目釘穴1。三字銘。(来の字、左の点の上部に目釘穴の躊躇い痕がある)
棟方、刃方、ほぼ角。角が少し手にあたる。茎尻栗尻。
刀 銘 吉則作(後三条)
末の山城物と大和物

刃長71.4㎝
反り2.8㎝
元幅30.0(31.0)㎜
元重6.9(7.9)㎜
先幅17.5(17.8)㎜
先重3.6(4.1)㎜
茎最厚8.4㎜
鎬造、庵棟、身幅広く、重ね厚く、反り高く、鎬やや高く、茎やや短い造り込み。
地鉄、板目やや肌立ちごころ。
刃文、互の目に尖り刃混じり、金筋入り、細かに砂流しかかり、小錵つく。
帽子、僅かに乱れ、先少し掃きかけて丸く返る。
茎、鑢目切り、少し朽ち込む。棟方、刃方、殆ど角。目釘穴2、吉則作と三字銘。茎尻刃上がり栗尻。
脇差 銘 出羽大掾藤原国路
新時代の山城鍛冶―三品派と堀川派―

刃長 34.2㎝
反り 0.5㎝
元幅30.3(32.1)㎜
元重6.3㎜
茎最厚6.6㎜
平造り、庵棟、身幅やや広く、寸が延び、反り浅めに付き、棟区深く、庵棟やや高い。
地鉄、板目肌詰み、地錵つく。
刃文、互の目を焼き、匂い深く、小錵付き、フクラ下で焼き上がり、表裏に飛び焼きを見せる。
帽子、直ぐに丸く返る。
彫物、表に梵字、裏に「三十番神」の彫。
茎、生ぶ。ヤスリ筋違。棟、刃方小肉。棟ヤスリ大筋違。目釘穴2、内1つ鉄埋め。茎尻強い栗尻。
刀 無銘 千手院(重要刀剣)
本能寺「五箇伝の名刀展」大和・山城編『千手院(一)』

刃長64.2㎝
反り1.4㎝
元幅24.6(25.8)㎜
元重6.0(6.1)㎜
先幅18.3(19.1)㎜
先重4.2(4.4)㎜
茎最厚6.7㎜
鎬造、庵棟、反り浅く、中鋒。重ね、鎬幅、鎬高は尋常。
地鉄、板目肌強く流れほぼ柾目となり、地錵よくつく。
刃文、中直刃調に互の目がかり、刃中に足、葉入り、錵筋、砂流し入り、地に湯走り現れる。
帽子、差表、強く掃きかけ荒錵付き、丸く返る。裏、掃きかけて丸く返る。
茎、大擦り上げ無銘、鑢目切り、目釘穴4、内2つ鉛埋め、茎尻切り。
剣 無銘 千手院
本能寺「五箇伝の名刀展」大和・山城編『千手院(二)』
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短刀 銘 大和国藤原貞興(保昌)(特別重要刀剣)
本能寺「五箇伝の名刀展」大和・山城編『保昌』

刃長21.3㎝
内反り
元幅17.8(18.6)㎜
元重6.3㎜
茎最厚6.8㎜
平造り、真の棟、重ね厚く、やや細身、フクラ枯れ鋭く、僅かに内反り。
地鉄、柾目肌、元は刃側に寄り、先は棟側に抜ける。茎から肌目に沿って錵映り立つ。
刃文、直刃、僅かに湾れを見せ、裏フクラ下に一箇所互の目ごころ。柾肌に沿ってほつれ、砂流し湯走りかかる。表裏とも区際焼き込む。
帽子、表、一文字風、裏、焼き詰め、掃きかける。
茎、生ぶ、茎鑢檜垣。棟方僅かに肉、刃方角。茎尻一文字。目釘穴2。
銘文の1文字目は平地研ぎ面に掛かり、ほぼ摩滅。
刀 朱書 則長 (尻懸)(特別重要刀剣)
寛永拾ニ年折紙金子五枚
本能寺「五箇伝の名刀展」大和・山城編『尻懸』

刃長69.0㎝
反り2.1㎝
元幅26.5㎜
先幅20.0㎜
元重6.5㎜
鋒長37㎜
鎬造、庵棟、やや反り浅く、中鋒。
地鉄、板目柾がかって流れ、地錵付き、所々大肌交じる。
刃文、直ぐ刃調に互の目が連れ、錵よく付き、ほつれて砂流しかかる。
帽子、よく沸えて掃き掛ける。
彫物、表裏に棒樋を掻き流し、茎に添え樋の痕跡がある。
茎、大磨上げ、先切、鑢目勝手下がり、目釘穴ニ。
刀 銘 包清(手掻)
本能寺「五箇伝の名刀展」大和・山城編『手掻』

刃長62.2㎝
反り2.2㎝
元幅29(30.1)㎜
元重4.9(5.5)㎜
先幅18.1(19.0)㎜
先重2.8(3.0)㎜
茎最厚6.8㎜
鎬造、庵棟、寸詰まり、反りやや深く、茎短く、所謂片手打ちの造り込み。
地鉄、板目詰み、所々白く肌立つ。柾気は無い。表裏に焼き出し映り立つ。
刃文、表、広直刃調に浅く湾れ、裏、広直刃調に互の目がかる。小錵付き、匂口やや深く、刃縁に金筋入るも、刃中の働きは少ない。
帽子、直ぐに先丸く、僅かに掃きかける。
茎、短く、鑢鷹の羽、刃方小肉、棟丸。目釘穴1、差表目釘穴の上に包清と二字銘。茎尻栗尻。
展示押形
刀 朱銘 当麻
本能寺「五箇伝の名刀展」大和・山城編『当麻』

太刀 銘 長吉(龍門)
本能寺「五箇伝の名刀展」大和・山城編『龍門』

刀 無銘 五条
検索結果 : 古京物

短刀 銘 定利(綾小路)(光山押形所載)
京のかたな 展示№59
来国行の短刀

短刀 銘 包真(手掻)
姿(追記)

受け継がれる日本刀―鈴木莊一コレクションを中心に―
現在、両国の刀剣博物館にて『受贈記念 受け継がれる日本刀 ―鈴木莊一コレクションを中心に―』が開催されています。
受け継がれる日本刀―鈴木莊一コレクションを中心に― 展覧会 | 刀剣博物館
展示リスト 2025受贈展目録10.22.pdf
素晴らしいコレクション。そして今回の展示の注目の一つである「光忠」の剣は国指定の重要文化財ですが、協会の重刀指定を受け、さらに特別重要刀剣にも指定されています。
この様な例は稀にあり、以下に示す菊御作の太刀も重美でありながら特重指定を受けています。
京のかたな 展示№26 | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区
この光忠の剣はしばらくの期間文化庁の行方不明リストにあったものです。発見後の文化庁の検分に立ち会いましたが、身幅があり腰元の踏ん張りが強く、先の張りもあり、鎬が高く、寸の割にかなりの重量感があります。銘はまるで彫銘の様な切り口で特徴的。そして何より地刃の出来が抜群です。
今回の展覧会のポスターにもなっています重美の国永(五条)の太刀は光山押形所載で、以前研磨させていただいたものです。

地鉄が非常に細かく柔らかく、刃は全体に潤みごころで古京物の典型。
地肌を出そうという意識を持たず湿潤に抑え、地鉄との硬度差が皆無の柔らかい刃を、普段は使わない大平の刃艶で強めにぼかして仕上げています。
押形はかなり以前の採拓で、当時まだパステルを多用していたせいもあり、古京物らしさを描き出せていないのが残念です。。
以下参考に、古い京物を。

無銘 五条

無銘 粟田口国安

無銘 綾小路
日刀保京都府支部入札鑑定会
今回は当番でしたので以下の鑑定刀にて入札鑑定を行いました。
1号 太刀 無銘 綾小路 (重要刀剣)
2号 脇差 銘 越中守正俊 (重要刀剣)
寛永三年八月吉日
3号 刀 銘 左行秀(花押) (重要刀剣)
嘉永六年二月日 足達正達佩之
4号 短刀 銘 清磨 (重要刀剣)
5号 太刀 銘 包清(手搔) (重要刀剣)

1号 太刀 綾小路

2号 脇差 越中守正俊

3号 刀 左行秀

4号 短刀 清麿

5号 太刀 包清
綾小路は、初期粟田口や五條など古京物への入札が多くありました。
手掻包清は地鉄が大変強く美しく、そして身幅重ねともたっぷりなため、ほぼ全員の方が南紀や忠吉へと入札。
出題者としては心ひそかに喜んだのであります。。
綾小路の

綾小路の全身押形の続きです。
綾小路の雰囲気になってきました。
昨日のブログの続きでいうと、是即ち古京物の雰囲気です。

無銘 五条

無銘 粟田口国安
無銘で古京物と極められる物が全てこの様な出来という訳ではありません。
例えば第49回重刀の無銘古京物、これは現物未見ですが、図譜から想像するに地鉄は違いますが刃は京博の国宝粟田口則国の様な直刃でしょうか。地鉄は肌立ちごころとありますので、国不明時代鎌倉前期で第43回重刀指定の助宗作と三字銘の太刀の様な出来かも知れません。
この助宗太刀は国不明での重刀指定ですが「一見古京物と鑑せられるもので、いかにも格調が高く、五条国永や粟田口国友などとの共通性が窺われ、鎌倉前期を降らぬ山城物と鑑するのが妥当であろう」と解説されています。この太刀は何度か拝見した事がありますが、二尺七寸超、踏ん張り付き、焼き幅十分で、非常に健全なものでした。
平安後期の
錵
研ぎ場にて粟田口二振り、綾小路二振りを拝見。
綾小路は「古京物(三条、五条)の作域を踏襲した感のある古様な趣のもので・・・」と解説されるとおり総体にうるむなど、いかにも古調な品が多い。
本日拝見した二振りの粟田口、錵の深さに圧倒される。
古青江、古備前、古伯耆などと非常に近い。




