≪新刀≫紀伊 南紀重国・刀(相州伝)

刀、銘 於南紀重国造之(江戸時代初期 紀伊国)

刃長 二尺三寸九分 反り五分三厘

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初代南紀重国、相州伝の刀である。
重国は大和手掻の末裔であり、大和伝、もっと言えば”手掻伝”とも言うべき手掻派の作に忠実な作品を多く残している。
重国初期の作品には貞宗・江・志津などに私淑したと思われる相州伝の割合が特に多いようである(銘の研究などから本刀がどの時期の作品なのかは特定出来るであろうが私には分からない)。
この度「南紀重国」の刀を研磨記録にUPさせて頂くにあたり、重国について少し調べていたが 「相州伝の貞宗・江・志津に私淑」ではなく、”さらにその上を狙ったと思われる”と言う内容の記述を「紀州の刀と鐔」などに見た。
それは「大和伝と相州伝の融合を果たし、地鉄は小板目に柾交じり、華やかな乱れ刃に、帽子掃きかけまたは火炎等々」と言った出来であり、 本刀はまさにその通りの作風である。

造り込みは、心持鎬高め、身幅重ねとも尋常。 地沸よく付き柾交じりの地鉄(特に指し裏に柾が目立つ)。
刃文は大互の目で沸強く、柾肌に起因する意図的な崩れの妙を見せており、帽子の風情、地刃の尋常ならざる冴えと合わせて 圧倒的な力強さを見せている。

諸書で重国に対する賛として、「全新刀を押並べても屈指のものと言うを憚らない(日本刀大鑑)」、「地刃の明るさに於いて他の追随を許さない(名品刀絵圖聚成)」、 「重国の作風は・・・相州上位郷義弘を学んだと思われる作がある。このような出来の物は虎徹あたりも狙った気配が有るがはるかに上手である(重国の方が)(日本の名刀)」、 「相州上位を私淑したと言われるが、むしろ凌駕した作品(刀剣美術358号)」などの記述があった。
私は南紀の作品に出合った事はそれほど多くは無いが、今後新たな南紀に出会える事が楽しみである。
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