小さい頃は

ふいに思い出したのだが、小学一年生だったか、国語で「くじら雲」と言うお話を習った。内容は覚えていないが、空にくじらの形の雲が出て来るお話。 国語で習ったその日、家に帰っていつものように裏の神社で一人で遊んでいた時、空に完全な形の「くじら雲」を見た事が今も鮮明な記憶として残っている。
また、小学三年くらいだったか、家から橋を一つ渡ったところ、かなり険しい山の急斜面。今の自分の子には絶対に行かせない所だが、隣の家の歩君達と登って行った。私の田舎は人が入れる山には大体廃屋やその名残りがあり、忘れられた存在として有り続けているのだが、そこにも古い石垣を見つけた。おそらく当時の大人達もその存在は知らないのではなかろうか。 そこを秘密基地にしようと決め、周辺を探索。周辺と言っても全面薄暗い急斜面なのだが、一角に日の光がさす場所が。 斜面を伝い行ってみると、アニメのトトロに出て来る低い木々のトンネルそのものな場所を見つけた。
もちろんトトロはそれよりずっと後なので、今思えばと言うところであるが。
田舎育ちなのでそういう経験は沢山あるが、それらは小さい頃だからそう見えた物ではなく、現実の物だったと思う。
その後、その秘密基地におやつを持って行き隠れて食べるのが楽しみだったのだが、ある日秘密基地でウンチがしたくなった。 急斜面のほんの僅かな平面を見つけ、細い木の根元を掴み、斜面下方へ向け、しかし物が転げ落ちない様に用を済ませた。
出来上がった物は、Dr.スランプに出て来る「巻きぐそ」に全く遜色ない形だ。 これも完全に現実であり、今考えても誠に見事な形である。

今日は大事な所で指を切ってしまい、こんな事を思い出しながら血が止まるまでの時間を過ごす。