筆入れのつづき

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とりあえず片面、ざっとですがつながった。

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八木ノ嶋の原石を試す。
上部は皮状だが刃物を当てる事も可能だった。
しっかり試したのはこの反対面。
やけに良い気がする。
菖蒲谷
その後、各種奥殿を試す。
ありゃ?全部良い石に感じてしまう。
もしかしたら基準になるはずの小刀が軟らか過ぎる可能性が。 多分間違いない。
しかし念のため、右の「切る」石は切って試して見る事にする。
その時に先日買った本命の八木ノ嶋原石もカットしたい。

で、改めて今日試した八木ノ嶋の原石、
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厚さは5センチ程。
真ん中に、先日買った八木ノ嶋巣板に近い綺麗な層が挟まれている。
そしてその上に、八木ノ嶋特有の模様の層が見える。
綺麗に角取りし製品化された物からはイメージ出来て居なかったが、こんな隣り合った層だったのか。
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筆入れ

墨
今日は時間がとれずこれまで。
墨2
分かってます、皆まで言うな・・。
そうです、荒いんです。難しいんです。

刀の焼きいれ現象って凄いんです。
実際の刀の刃文とは、絵画のデッサンのタッチの様なバサバサと汚い部分は皆無です。
錵、匂いは粒立ち、それにより構成される線は奥深く滑らかです。
私は墨で筆書きですが、筆使いが難しく、滑らかに描くのが難しいのです。特に備前伝が苦手で。
鉛筆でもシャーペンでも筆でも、押形の上手な人は刀の刃文がどれだけ繊細で美しいかと言う事を心底理解しているんだと思います。



全身押形 刃文の下書き

今日は一日中細かい作業が続き、首の負担を軽減するためにプラレールの橋脚に頭を乗せて作業をした。これが非常に具合がよい。
全身2
夜は刃文の下書き。
日中のダメージが大きいため片面で終える。



押形を

紙
午後から、ちょっと久々に全身を描く。
80センチを超える太刀。
輪郭
夜には輪郭完成。
明日から下絵に入る。



小刀教室に

奈良市主催のキッズホリデークラブにて「刀鍛冶さんから学ぼう(五寸釘の小刀作り)」と言う催しが行われ、私も研ぎのお手伝いに行かせて頂きました。
刀鍛冶さん達が各地でもうかなり長いあいだ続けておられる活動だそうです。
今回は多数の応募の中から抽選で40名弱のちびっ子が参加しました。小学校低学年の子が多かったかな。女の子も多数来てくれていました。
kogatana
敢えてちびっ子達が写らない様に撮ったのでこんな写真ですが、皆一所懸命槌を振るい、全員が頑張って五寸釘ペーパーナイフを作り上げる事が出来ました。
私が研ぎを手伝った子達、もれなく全員「ありがとうございました」と言ってくれました。 みんなエライね。
私も小さい頃、自分で作ったルアーやナイフなどに、もの凄く愛着を感じ、ずっと大切にして居ました。
研師になった今でも、自分で作った小刀には嬉しくて仕方無い気持ちがずっと続きます。
このちびっ子達も刀鍛冶さんといっしょに作った五寸釘ナイフから様々な事を学んで欲しいと思いました。

今回は講師として刀鍛冶6名、研師2名の参加でした。
ペーパーナイフを研ぐ砥石は、ホームセンターで売っているグリーンカーボンの荒砥でかなり軟らかい石、それ一本で完了です。
ちびっ子達に研ぎ方を教えながら、最後は研師が研いで仕上げてあげます。
刀鍛冶さんが前工程のベルトサンダーでほぼ仕上げてくれていますので研師が研ぐのはほんの2,3分でしょうか。

今回参加のもう一人の研師。 私より大分年下です。
以前内曇を引く所を見た時、これは凄いと思っていました。
今回たった一本の荒砥でちびっ子が作ったペーパーナイフをちょっと研ぐだけですが、上手い人の動きは凄いです。
刀職は展覧会の催しなどで刀剣研磨の実演をする機会などがあるのですが、この人の横での実演は恥ずかしくて出来ないですね。
また新たな目標が出来てしまった。



若狭砥

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刀剣研磨の地艶工程に使用する砥石を鳴滝と言う。
”鳴滝”とは地名で、砥石で言う場合はその近辺や特定の山で採掘された石をそう呼ぶ。
しかし刀研師が地艶の事を”鳴滝”と言う場合、実はどの山から採れた石かを意識しない事が多いかも知れない。つまり刀剣研磨の世界では”鳴滝”と言う呼称は産地を指すと言うよりも、地艶砥の総称として使われているのではないかと感じる。
結果、地艶として流通する砥石には様々な山の石が入り混じるわけだが、その中に若狭砥がある。
若狭(福井県)で仕上砥が採れる事は仕事で刃物を研ぐ人や刃物研ぎが趣味の人意外にはあまり知られていないかも知れない。
硬質な物が多く、研磨力が強い。よい石に当たれば上質な地艶として使用出来るはずだ。
残念ながら今日試した石は地を引く。地艶としては致命的。研磨力は強いのだが・・。