無題

全身押形を進める。
全体に昨日とは少し違う雰囲気に。
押形は二十数年やっていると思うが、私の刃文描写は今回のこの雰囲気が完成形かも知れない。
濃くてかっこいい刃文は描けず。絶妙な薄さでハイスピード、大胆かつ繊細なあの技術も無理で。
その二つの中間的なものでしょか。



古青江

古青江を拝見したり研磨をさせて頂く事は度々ですが、魅力的な刀が多いです。(押形はまだ途中なので棟区が繋がっていません)
古備前によく似ているので鑑定に出た場合などは迷う物ですが、個人的感想でいえば、古備前より野趣を感じる物が多い気がします。
何がそう感じさせるのか。やはり地鉄ですね。縮緬肌と称される独特の風合い。
厚い(大きい)地艶を使ってしまい、最低な結果になってしまった古青江もたまにはありますが、古青江を研ぐ研師は研げる研師が普通で、大体は上質な縮緬或いは縮緬風の地鉄に仕上がっています。
今回も良い縮緬に仕上げるべく時間を使います。



現代刀の入札鑑定会


過去ブログの調べ物をしていましたら「現代刀目利き認定大会」のブログ記事があり、見てみました。
いやぁ、楽しさが蘇ります。
  現代刀の入札鑑定会 | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)
「今まで経験した入札鑑定会で過去1,2を争う楽しさ」と書いていますが、訂正しないとダメですね。
過去”断トツに一番楽しい”入札鑑定です。
何故楽しかったのかを考えたのですが、これが結構複雑というか深くて、簡単には書きたくなく。。
また是非開催して下さい!m(__)m

先日の支部会の2号現代刀への入札結果は大変興味深いものでした。
  支部入札鑑定会 | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)
入札鑑定会に現代刀が並ぶ機会がもっと増えるべきだと思います。

一時期、入札鑑定を否定する風潮があった様に思いますが、それは今も続いているのでしょうか。
迎合するのは簡単なんですが。一旦落ちだすともう止められないし戻せないですよ。
職人の技術も同じで。全体が落ちると戻すのは難しい。
”時代”で片付けるには大き過ぎる損失です。




支部入札鑑定会

今回も当番でしたので刀を集めさせて頂きました。
当番の時は入札出来ないので残念ではありますが、入札者の思考回路を見させて頂くわけですから大変勉強になります。

鑑定刀
 1号 太刀 正恒         (古備前・特別重要刀剣)
 2号 短刀 宗昌親 平成二十七年春
 3号 太刀 守次         (古青江・特別重要刀剣)
 4号 短刀 平安城堀川住弘幸 慶長拾三年九月日(重要刀剣)
 5号  刀 弘幸            (堀川・重要刀剣)

鑑賞刀
 大太刀 無銘 吉岡一文字(三尺三寸)
                      (柏原美術館館蔵品・重要刀剣)

1号 古備前正恒

2号 宗昌親

3号 古青江守次

4号 弘幸(堀川)

5号 弘幸(堀川)

鑑賞刀の吉岡一文字の大太刀には鉄鎺(共鎺)が付属します。
古い時代には刀を一口鍛える毎に鉄の鎺も作ったと云われますが、今は特別な注文が無い限り鉄鎺が使われる事はありません。
過去に見た鉄鎺は新刀期が2口、室町期が1口、後は全て南北朝以前の物でした。

この度も大切な御刀を鑑定刀としてご提供頂き誠にありがとうございました。