木硯

押形展示の件で刀剣博に行った時、木硯(もっけん)の存在を教えて頂きました。
デアゴスティーニの週刊日本刀84号の特集記事「押形の美学」にも書いて頂きましたが、私が押形採拓時に毎回一番強く意識している事は、正確な押形を描く事でも美しい押形に仕上げる事でもなく、安全に作業を終える事です。
ですので道具は出来るだけ安全な物を使いたく、機能上使用する事のあるシャーペンもティッシュで包み万一の事故に備えた状態で使っています。
そんな中、刀の周辺に置く一番硬い物が硯で、これだけは仕方ないと思っていたのですが・・・。

木の硯があるなんて全く知らずでした。
出先で国宝や重文などの押形採拓を行う事も度々ですが、これだと安全度も上がります。

なるべくコンパクトな物が好きなので、特注で小さな木硯を。
細かな注文にも関わらず何度も詳しくやり取りして下さり、おかげで毎日気持ちよく使える素敵な道具を手にする事が出来ました。
感謝感謝です。



大太刀の全身押形をとる

数年前、某御宮様御所蔵の大太刀の全身押形の制作を予定していましたが、私が肩を骨折してしまい制作出来ずにおりました。
肩の調子もすっかり良くなりましたので、押形を。(HPへの掲載のお許しを頂いております)

押形用紙を裁断。当初100メートルあったロールも大分細くなりました。この紙を次また入手出来るかどうかは不明。。

全長170㎝超。もしかしたら今までで一番長いのかもです。(未確認)
登録証によると銘文の文字数は61文字。
その銘の保存状態が非常に良いため銘の摺り出しに苦労しそうです。
(保存状態が良いとタガネ枕が立っており、銘の際に石華墨が当たらず、銘文を明瞭に摺り出す事が困難です。新々刀や現代刀の多くは銘の摺り出しに苦労します。)

大太刀全身押形 | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)




入鹿の事など

入鹿、天狗、南紀等を複数拝見。
初代の南紀は度々見るわけですが、後代を見る機会はそれ程多くなく。
過去に2代3代の南紀に出会った時はあれこれ考える事もなく流してしまったのですが、今回は少しゆっくり拝見。
結果、例えば入札鑑定にこれが出たならば、私は自信満々で肥前刀に入れてしまうと思います。それは直ぐ刃でも乱れ刃でも。
あしかし初代の南紀でも慣れなければ肥前に見えますよね。私は初代に関しては判る様になっているかもです。
2,3代は初代とは異なる雰囲気を持っていて、それが肥前刀寄りになるように感じられました。
(南紀後代と分かって見れば確かに肥前とは違う点は複数上げられます)

入鹿と天狗の槍です。念願の熊野山を冠する入鹿(と思われる作品)も。
この他にも入鹿作品を複数拝見。大好きな入鹿を多数拝見出来、眼福の極み。


相変わらずですが押形も描いており。。
最近では、鎌倉中後期在銘短刀、幕末短刀、大和在銘太刀、近江大掾乱れ刃、重文太刀、大和在銘短刀、孫六刀、延寿某寸延、真景短刀、南北備前寸延、末手掻短刀、備前鎌倉末期在銘短刀、大和在銘太刀、美濃在銘太刀、こんなところでしょうか。