有成

2018年04月09日

先日博物館の研究員さんと話していて、有成の話に。
最近の刀剣事情(流行り)に全く疎い私は有成がここ数年話題の刀だと知りませんでした。
石切さんの石切丸が有成だという認識は近年辛うじて持っていましたが、今はそんな事になっていたのですね、ネットで見て初めて知りました。

有成は現存する品が極めて少なく、その一つが現在石切さんにある「太刀 銘 有成(再刃)刃長二尺五寸一分」で、重要美術品に認定されています。
重要美術品全集の解説に本間先生が「経眼した作品はこの太刀一振りである」と書かれていますし、平成5年の刀剣美術第438号、寒山刀剣初学教室の中で寒山先生が「有成の作刀は重要美術品に認定されている太刀一口より他に物がありません」と書かれています。

しかしそれより後、確か平成14年から16年頃、私が30歳前後のころですが、この重美の有成(石切丸)以外にもう一振り、有成の太刀が発見されています。
当時某所で白鞘入り古研ぎの太刀を見せられました。「どう思う?」と。長さは二尺四、五寸だったでしょうか。反りは少し異風だと感じた記憶があります。
古研ぎという事もありますが、あまり冴えた刃文ではなく、再刃の典型と見えました。思う事をその通り伝え、白鞘の柄を抜くように促され。。
少し細めで刀身に比してかなり長い生ぶ茎。確か茎の反りもそのままで、茎尻もつまんで居なかったと思います。そして非常に鮮明な銘で「有成」と。
その後、この太刀は協会審査に出され「(再刃)」とした上で保存審査に合格しています。
通常協会審査では再刃の刀は不合格となりますが、著名刀工の在銘作中特に資料性の高い物は(再刃)とした上で合格する事があります。
例えば過去の重刀審査では、短刀 銘 国光(名物小尻通国光)、短刀 銘 国光(新藤五、片切刃造り)、短刀 銘 行光(名物不動行光)、脇差 無銘(名物獅子貞宗)、太刀 銘 近村上(ちかむらたてまつる)などの合格例が。
あの有成の太刀、その存在を知られぬまま眠っているのは惜しい気もします。